「なぜ障害者が妊娠すると『おめでとう』ではなく憐れんだり怒ったりするんだろう」車椅子ママ・千葉絵里菜(29)が子育ての様子を発信し続ける訳
「脳性まひの車椅子ママ」として子育てに励む様子をSNSやブログで積極的に発信している北海道在住の千葉絵里菜さん。東京で出会った男性と結婚し、妊活を経て今年の2月に女の子を出産しました。妊娠中や命がけで臨んだ出産について振り返ってもらいました。(全3回中の3回) 【写真】「涙が止まらない」出産直後の車椅子ママとお子さんの初対面(全16枚)
■排卵障害や子宮外妊娠を乗り越えて命がけで出産 ── お子さんについては夫婦で結婚前から話し合っていたのですか? 千葉さん:いえ、特に話していませんでした。それどころか私はもともと生理不順で、妊娠しにくい体質だということがわかっていたんです。はっきりわかったのは上京して、東京パラリンピックのキャスターの仕事を始めてからでした。トイレに振り回されない生活をするため尿カテーテルを入れようかとMRIを撮ったら黒い影があり、子宮筋腫でした。さらに後の検査で多嚢胞性卵巣症候群もわかり、排卵障害があることが判明。ピルを飲みながら治療していました。
結婚後「やっぱり子どもが欲しいね」という話になり、多嚢胞性卵巣症候群の治療をしている都内の大学病院で担当医師に相談したら、「いろんなリスクがあるので自分だけの判断ではちょっと決めかねる」とのお返事だったので、ムリなのかな…という気持ちはありました。その後、私の故郷・北海道帯広市で結婚生活を始めた際に札幌医科大学付属病院を訪れました。「私のような重度障害者でも子どもを産めますか?」と聞いたら、「大丈夫ですよ」とのお返事をもらい、産む場所を確保。普段の検診は地元の病院で受けられるよう提携してくれて、不妊治療を始めました。
── その結果、娘さんを授かったのですね。 千葉さん:実は娘を出産する前にも一度妊娠していたのですが、そのときは子宮外妊娠でした。腹痛や症状が全然なく、妊娠検査薬で陽性だったので「え、妊娠してるの?」と喜んで病院へ行ったら、子宮内に赤ちゃんの袋(胎嚢)が見えないと言われて…。その後、腹痛が出てきたので、すぐに左の卵管を摘出する腹腔鏡手術をしました。 悲しい気持ちはあったのですが、数か月後、諦めずにタイミング法での妊活にトライして、二度目の妊娠をすることができました。一度は失った赤ちゃんが戻ってきてくれた気がして、私も夫もすごく嬉しかったのを覚えています。今度は順調に赤ちゃんが大きくなっていったのですが、地元の病院の医師からは「命の危険に関わる出産になるかもしれない」と告げられていました。子宮外妊娠の手術の際に、1歳のころに患った胆道閉鎖症の手術痕の腹膜に癒着があることがわかっていたので、「出産の際、帝王切開により腹膜の癒着がはがれて大量出血する恐れもあります。もしもの場合は母体の命の危険にも関わります。出産についてはご家族とよく話し合ってください」と。