「なぜ障害者が妊娠すると『おめでとう』ではなく憐れんだり怒ったりするんだろう」車椅子ママ・千葉絵里菜(29)が子育ての様子を発信し続ける訳
── 出産することで命の危険もあるというのは、常に頭の片隅にあったのですか? 千葉さん:いえ、強く意識したのは、出産のために入院するころです。これで家族と会うのは最後かもしれないと思ったら悲しくなってきました。
■チーム医療で出産をサポート「分娩台の上で涙が止まらなかった」 ── 出産自体は帝王切開だったのですか? 千葉さん:それが違ったんです。札幌の病院では担当の医師が、「脳性まひだから、不随意運動が強いからって帝王切開と決めつけず、いろんな出産の可能性を見つけてみよう」と言ってくれて。私は今までの人生で、とにかく自分で工夫をして、できることを見つけて生きてきたので、私でもできる方法を考えてくれる、同じマインドでいてくれる先生だと感じました。
病院では産婦人科の先生だけでなく、麻酔科の先生、リハビリテーション科の先生、小児科の先生がチームとなって私の出産を支えてくれました。たとえばお腹の子が逆子だったらどんな体勢なら産めるかとか、各先生が意見を出し合いながら準備を進めてくれて、分娩へと向かうことができました。 最終的に計画和痛分娩という形を取ることになり、2日かけて出産しました。1日目はバルーンを入れて陣痛誘発剤を打ったのですが出産に至らず、翌日さらに大きいバルーンを入れました。分娩台では硬膜外麻酔を打ち、不随意運動で動きすぎないように足を押さえてもらいながらの分娩でした。2024年2月14日、無事に娘が生まれてきてくれました。
── 生まれてきた赤ちゃんを見てどんな気持ちでしたか? 千葉さん:本当に感動しました。分娩台に乗ってからは、かなり早い段階から生まれた後のことを想像して涙が止まらなくなりました。助産師さんに「まだ生まれてこないよ」と言われながらも、出産中もずっと泣いていました。「私たちのところに来てくれてありがとう」という気持ちと、「この命を大切にしないといけない」という気持ちでいっぱいに。落ち着くと今度は、自分の体に何か起きないか、子どもの体に何か起きないかと不安がよぎりました。