「どれだけ人の思い出に残っていくか」――秋元康と竹内まりやが語るJ-POP、アイドル、創作人生
秋元「どれだけ人の思い出に残っていくかだよね。達郎さんが『クリスマス・イブ』を書いた時も、まりやさんが『駅』を書いた時も、それがスタンダードになるかなんてわからないからね」 竹内「アッキーは今までに書いた歌で、一番好きなものはありますか?」 秋元「ヒッチコックじゃないけど『ネクストワン』(次回作)じゃないかな。まりやさんもそうじゃない?」 竹内「そうかもしれない。まだまだだと思うから、次を作るんでしょうね」 秋元「僕がずっと好きなのは、まりやさんの声。コニー・フランシスみたいな、ちょっと引っかけるような歌い方が好きなんです」 竹内「歌い癖のことですよね。その癖をなくそうとすると、竹内まりやのボーカルじゃなくなるので、自然のままでいいかなと。私の根源的なアイデンティティーは、『歌い手』です。長く続けられるのは、喜んでくれる人がそこにいるから。どんな人が自分の歌を聴いてくれているのか知りたい。私は握手会がないので(笑)」 秋元「やればいいじゃない(笑)」 竹内「かつて、(サザンの)桑田夫妻と、握手会のない私たちはどうやってアルバムをより多くの人たちに届けようかと、真剣に話したことがある(笑)。長年応援してくださる方がライブに来て、『不思議なピーチパイ』を一緒に歌ってくれたりすると、すごく感慨深い気持ちになるんですよね」 秋元「まりやさんのライブ、1曲目は何で来るんだろう。それを考えるだけで楽しいよね」
秋元康(あきもと・やすし) 1958年生まれ。東京都出身。高校時代から放送作家として頭角を現し、「ザ・ベストテン」など数々の番組構成を手がける。作詞家として、美空ひばり「川の流れのように」、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」など数々のヒット曲を生む。「AKB48グループ」「坂道シリーズ」の総合プロデューサーを務めるほか、映画・ドラマの企画・原作、CMやゲームの企画、小説執筆など、活動は多岐にわたる。 竹内まりや(たけうち・まりや) 1955年生まれ。島根県出身。1978年、デビュー。1981年、音楽活動を一時休止することを宣言し、翌年、山下達郎と結婚。1984年にアルバム『VARIETY』で活動を再開。作詞・作曲家として楽曲提供しながら、自身のアルバムも発表。2023年11月よりデビュー45周年を迎えている。10年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Precious Days』が10月23日に発売。2025年、11年ぶりの全国ツアーが開催予定。 竹内まりやスタイリング:斉藤伸子 竹内まりやヘアメイク:COCO(関川事務所)