「どれだけ人の思い出に残っていくか」――秋元康と竹内まりやが語るJ-POP、アイドル、創作人生
竹内「はっきりとものを言うのが、達郎たるゆえんですよね。自分がいなくなった後、もしそういうことをされたら嫌だという気持ちがあるからだと思うんですよ」 秋元「ミュージシャンの中にもテクノロジーに進む人と、達郎さんみたいに生身でやりたい人に分かれますね」 竹内「例えば、私は大滝詠一さんと3人でトライアングルをやりたいという夢があったんだけど、夢半ばで旅立たれて。大滝さんがAIとして存在して、私と達郎とで大滝さんがやりたがりそうなことは何か見つけられるかもしれないけど、それを大滝さんが望むかというと、たぶんそうじゃないと思っちゃうから、その企画はなくなるわけです」 秋元「そこにはやっぱり本人の意思が一番重要だと思うので」 竹内「もう問いかけられないし、それを商売にすることもやっぱりなんとなく抵抗があるということでしょうね」
ヒットは狙えるけど、スタンダードは狙えない
令和の今、日本の「シティポップ」が海外で注目され、K-POPがアメリカでチャートインしている。音楽を取り巻く変化をどう捉えているのか。 秋元「まりやさんはK-POPは聴くの?」 竹内「興味を持って見てみるんだけど、それぞれの区別がつかなくて。でも、やっぱりみんな歌とダンスがうまい。どれだけ努力してるんだろうと思う」 秋元「大勢の人が惹かれるのはわかる。だけど、僕らが親しんできた歌は、ギターなりピアノなりでメロディーから作っていくものだから、トラックから打ち込みで作っていくのはどうしても慣れないんですよね。J-POPには、メロディーの強さがこれからも絶対に必要だと思います。韓国の音楽業界がアメリカのダンスミュージックを席巻したのは嬉しいですね」 竹内「グループが増えるほど、差異を出すことは難しくなりますよね」 秋元「われわれの世代でいうと、グループサウンズなんですよ。似たようなバンドが乱立したためにブームが去った。長く残るものを作るのは、本当に難しい。ヒットは狙えるけど、スタンダードは狙えないんです」 竹内「大衆が20年後も歌い続けたいと思う曲は、まずスタートが流行する歌じゃないとダメだけれども、問題はそこから先ですよね」