一般車侵入でラリージャパン主催者に最大2400万円の罰金 明らかな妨害行為に憤りも
11月21~24日に愛知、岐阜県の山間部を中心に開催された世界ラリー選手権(WRC)ラリージャパンで一般車が検問を強行突破してスペシャルステージに侵入し、競技を妨害。ステージが途中でキャンセルされる事態となった。 侵入したのは関東地方のナンバーがついたバンで、23日の岐阜県恵那市内に設けられた「SS12」の約520メートルの間を逆走。スタート地点で待機していたトヨタのエルフィン・エバンスのマシンに対向する形で停車し、マーシャルの移動の指示にも従わなかった。 大会実行委員会によると「警備員ら5人の制止を振り切って侵入した」としており、バンを運転していた男性は警察車両に誘導される形で現場を離れ、岐阜県警恵那署で事情聴取を受けたもようだ。 男性の身元については警察側から公表されてはいないが、立件を視野に捜査を進めている。現地に観戦のために集まったギャラリーにとっては楽しみにしていたラリー車両の走行を十分に見られなかったこともあり、実行委は警察に被害届を提出する方針だ。 その一方、検問を突破された箇所には係員はいたものの、封鎖するテープがかけられていただけで、突破を防ぐために主催者車両を使って道路を塞ぐなど十分な安全対策が講じられなかった。そのため24日には最大で15万ユーロ(約2400万円)の罰金をWRCのラリースチュワードからラリージャパンの主催者に科された。 2022年の大会でも誤ってコースに侵入する事件は起きたが、今回は強行突破したことからもラリーの妨害を目的にした行動ではないかと指摘されている。 この事態が正月の箱根駅伝で起きたらどうだろう。中継所の手前に一般車が進入し、選手らの進路を完全に塞いだり、急に沿道から車が飛び出して選手をはねたりしたら大問題となるに違いない。おそらく何らかの損賠賠償訴訟に発展するはずだ。 ラリージャパンの沿道でもラリーに反対する住民はいるかもしれないが、地元自治体を含めてほとんどが開催に協力的。主催者への罰金も問題が発生したことを報告する連絡システムがうまく働いていなかったこと挙げられるが、過去の教訓を行かして現場も一生懸命に警備にあたっていた。 検問を強行突破するという常識外れの行動の理由についてははっきりしないが、侵入した男性に対しては刑事、民事の両面で大きなペナルティーが科されてもおかしくない。 ラリージャパンは開催契約が延長され、2028年まで継続されることがすでに発表されている。「ラリー」という競技については知名度も低く、明確なルールを知らない人も多いはずだが、コースに立ち入ることは危険を伴い、禁止行為であることは容易に理解できる。人の生命に関わる大事に至らなかったのは幸いだが、明らかな妨害行為に憤りを感じる人も多い。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]