これは、たしかに特定が難しい…不意をついてやってくる「火山で起こる津波」を起こす6つの要因と、あまりに「広範囲な影響」
海底でのカルデラ陥没や断層運動に伴う津波
海底火山での断層運動により津波が発生することがある(図「断層運動による沈降と隆起」)。破局的大規模噴火では、大量のマグマの噴出と引き換えに直径数kmから十数kmの領域が短時間のうちに大規模に陥没する。環状断層の形成を伴い、場合によっては深さ数百m以上に及ぶ地形変化が海底で生じ、これにより津波が発生する可能性がある。 鬼界カルデラの7300年前の鬼界アカホヤ噴火やサントリーニ・カルデラの紀元前17世紀のミノア噴火、クラカタウ火山の1883年の噴火などで引き起こされた可能性がある。 *参考記事 ミノア噴火について〈エーゲ海に浮かぶ火山島「サントリーニ」の誕生と成長、そして、3600年前に起こった「史上最大の大噴火」〉クラカタウ火山の噴火について〈明治日本をも震撼させた「クラカタウ火山」の大ニュース…消滅後の海に現れた「子供島」の成長と、その後の姿〉
津波のメカニズム、もう一つの候補「カルデラ陥没」
鬼界カルデラの場合、カルデラ近隣の島や西南日本の沿岸で噴火とほぼ同時期に複数回の津波が発生した痕跡や堆積物が見出されている。津波のメカニズムとして、噴火と同時に発生した巨大地震や火砕流が提案されているが、海底地形の大きな変化を生じるカルデラ陥没も有力な候補だ。 ただし浅海での巨大噴火では、大規模火砕流やマグマ水蒸気爆発がカルデラ陥没とほとんど同時に発生する可能性があるため、津波の原因として「カルデラ陥没」単一よりも、複合的なプロセスを考慮する必要があるかもしれない。近現代の火山噴火で、このメカニズムにより確かに津波が発生したとされている事例は知られておらず、発生過程については不明な部分も多い。 また、近年、海底カルデラで観測される地震活動の解析から、カルデラ下に存在するマグマ溜まりの変形に起因し、カルデラをつくる環状断層に沿った断層運動が津波を励起させる場合があることがわかってきた。 また、環状断層に限定せず、火山体内部や周辺で起こる火山性地震や地殻変動に断層運動が伴われた場合、それによる変位が海底に達し、隆起や沈降により海水が持ち上げられ津波が発生する可能性がある。
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