なぜRIZINで8秒KO勝利のスダリオ剛は”狂気の乱闘劇”を誘発してしまったのか?「殺す覚悟も殺される覚悟もあった」
総合格闘技イベントの「RIZIN.27」が21日、愛知の日本ガイシホールで4558人の有観客で行われ、元大相撲十両・貴ノ富士のスダリオ剛(23)がプロレスラーの宮本和志(42、和志組)とRIZIN・MMAルール(肘攻撃あり)120キロ契約5分×3ラウンドで対戦し、1ラウンドわずか8秒でKO勝利した。興奮したスダリオはレフェリーが止めた後も無抵抗の宮本への攻撃を止めず、リング上では両陣営が入り乱れて“乱闘”。RIZINデビュー3連勝のスダリオは「ちゃんとしたMMAファイターとやらせてくれ」と要求。「世界のトップを取れる」と評価する榊原信行CEOは「ゴリゴリのMMAファイターをぶつける」と約束した。
試合後謝罪に訪れて和解
イライラが募っていた。 「試合までに色々と溜まっていたものがあった。相手に対してもそうだし格闘技ファンにもそう。まだ2試合しかしていないのに“この選手になら負ける”とか言われるのが嫌で、圧倒的に勝ちたかった。殺される覚悟も、殺す覚悟もあった」 スダリオの対戦相手の宮本は、全日本プロレス時代に本間朋晃とタッグチームの「ターメリック・ストーム」を結成したり、WWEに出場経験まであるプロレスラーだが、現在は、42歳のインディーのレスラーである。MMAのリアルファイトの実力には疑問符がつき、対戦カードが発表された段階から、SNSでは、「勝って当然の相手」「レベルが低い」などとネガティブな声が殺到していた。 しかも、記者会見から挑発され、煽りのVTRでは「てめえ」呼ばわりされた。 スダリオが抱えていた一触即発の“爆弾”の導火線に火をつけたのが、宮本自身が「ロケットスタートを切ってしまった」というフライング気味の突進だった。 「(来たのが)ゴング前だったんですよね。や(殺)りに来ていると思った。これはやりにいかないと、僕もやられると」 アームレスリングの元全日本ジュニア王者でベンチプレスで300キロを挙げたというパワーファイターの宮本が突っ込んできたが、恐れず右のストレートで応戦した。そのパンチは空砲となったが、すぐさま“突っ張り”でなぎ倒した。立ち上がった宮本が、うしろを向くと、追いかけるようにして強烈な右フック。モロに顔面にくらった宮本は、たまらずダウンだ。スダリオは、そこに右手でパウンド。そしてハンマーを振り下ろし、さらにパウンドの嵐。宮本が反応していないのを見て、和田良覚レフェリーが体を張ってストップしたが、興奮状態のスダリオは、その制止をふりきって攻撃を続けた。 「決まったかもしれないが相手がまだ起き上がろうとしていた。リング上なので、やらないと、僕もやられている可能性もある」との危機感に迫られていた。