「船遊び」のプロが語る・もっと 海を“ 楽しむ”方法。必要 不可欠な「船」への尊敬と、海外のオーナーが持つ「ノブレス・オブリージュ」の精神とは! (インタビュー第2回)
「遊び方を知らない」のは、オーナーのせいではない
―― そういう遊び方を知っているか知らないかで、船のオーナーさんに伝えることも違ってきますね。 吉原 「遊び方を知らない」のは、オーナーのせいじゃない。遊びの提案をちゃんとしてあげられるか、この遊びを続けられるかどうかっていうのは、8割くらい僕らの業界の責任なんです。 先日、30歳前後の若いマリーナスタッフにも話をしたのですが、「お客さんを生かすも殺すも、あなた次第だからね」って。 この遊びをすぐに辞めちゃうか、ずっと続けられるのは、本当に僕ら営業次第なんです。 どうしても、会社は目先の利益だけを追いかけてしまいがちですが、ちゃんと遊びを提案してあげれば、売り上げはついてくるものです。 企業としては、「利益の大きな船を売りなさい」っていいます。そうすると、免許を取ったばかりの人が、「格好いい」とか、見た目だけでいきなり4億円くらいもする大きなクルーザーを買ってしまうことがある。 でも、いきなりそんな大きな船を買っても、オーナーもどうしていいか分からないわけです。 そこで、「1年間、大きなクルーザーをやりながらレンタルボートもやりましょう」もしくは「1年間小さいボートで練習して、その次に大型クルーザーをやりましょうよ」って、僕らが提案をしてあげないといけない。 ―― そのためにも、知見を広げる必要がありますね。 吉原 ウチの会社では、入社1年目か 2年目のスタッフは、必ず アメリカのボートショーに連れていくんです。営業は外に出て、自分たちでいろんなものを感じていなかったら、遊びの提案はできません。 日本の船の登録台数は、たかが知れています。 アメリカはフロリダ半島だけで70万隻。そういうところのマリーナに行けば、必ずブローカーみたいな、我々みたいな店舗が入っている。そういうのを見て、「海外には、こんな世界観があるんだ」っていうのを、肌で感じてもらう。 自分の足で見ることで、「こんな遊びをしていました」「船をこんなにキレイにしていました」って、オーナーに伝えられます。 オーナーがそういうことを知らなかったら“文化”は進んでいかないし、オーナーがいなければ我々も成長できません。 特に営業は外に外に出て、自分たちでいろんなものを感じてなったら、遊びの提案はできません。 ―― 吉原さんたちのように、ちゃんとした人に巡り合っていないから、オーナーも遊び方が分からない。分からないのに手間暇がかかる船を買っているからやめてしまう。 吉原 そうです。日本人って、「遊ばせてもらうこと」に慣れていない。そこはステップアップさせるべきです。 最初にキチンと教えてあげれば、やめることはありません。それをするのが僕らだと思っています。 特に小さいうちから船に親しんでいれば、大人になってもやる人って多いんですよ。先を考えれば、子どもたちに「船」に触れる機会を作らないといけない。思い出って忘れちゃうけど、記憶は忘れないですからね。
これから「船で遊びたい」という人のための企画
せっかく日本は海に囲まれているのに、「船での遊び方」を知らないのはもったいないと吉原氏は語る。 そのための“仕掛け”として、「営業をしない体験試乗会」の企画を、他の販売店とともに進行中だという。 「まずは舵を持って楽しんでもらいたい」と語る吉原氏からは、「船遊び」を「文化」として広めていきたいという意気込みを感じた。
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