製造業は回復基調でも…半導体「以外」の弱さ浮き彫りに
シリコンサイクルは過去のピークを凌駕
次に、日本企業が国際的な競争力を有している電子部品・デバイス工業に目を向けると、6月の生産は前月比+3.9%の増産でした。3か月平均では+3.0%へと伸びを高め、6か月連続の増産を記録しました。生産高は昨年1月を21.5%も上回っています。5G(第5世代移動体通信)、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット化)といったテーマの下、IC(集積回路)、固定コンデンサ、電子回路基板、水晶振動子、コネクタなどの生産が高水準にあります。世界的な需要増加の中で製品需給は引き締まっており、当面は製品価格が上昇しやすく、同セクターの業績回復が顕著になりそうです。 また同じく国際競争力を有する半導体製造装置の生産は前月比+14.2%、3ヶ月平均で+11.2%となり、水準は過去のシリコンサイクル(※)のピークを明確に凌駕しました。鉱工業生産全体の水準はようやく2020年1月の水準を回復したところなので、電子部品・デバイス工業と半導体製造装置に回復が集中していることがわかります。 今後、生産活動が一段と活発化するには「半導体以外」の回復が不可欠になりますが、それにはワクチン接種率が早期に上昇して感染状況が好転し、個人消費が回復するのを待つ必要があります。 (※)シリコンサイクル…「上昇2年・下降2年」の4年程度の周期を持つとされる半導体需要の波のこと。前回のピークは2017年末頃。
---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。