紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の先端部にある和歌山県串本町と那智勝浦町を結ぶ「串本太地道路」の建設が、2021年度より始まっています。 【画像】超便利!? これが「串本太地道路」ルートと工事状況です(30枚以上) この道路が開通すれば、一体どう便利にあるのでしょうか。
日本の国土を詳細に見ると、平地が少なく山が多い地形となっています。半島部も同様で、沿岸部の狭い平地で人が暮らし、すぐそばに山がそびえるというのは、各地でよく見られる光景です。 こうした日本各地の半島の地形は、交通や防災の面で弱点にもなりえます。 例えば「日本一細長い半島」と呼ばれる四国の佐田岬半島に国道が通ったのは戦後になってからで、それまで住民は陸上より海上交通に頼る比率が高い状態でした。 また、2024年元日に発生した能登半島地震では、やはり半島特有の地形が影響し、現在も復旧、復興が行われている状況にあります。 現在、紀伊半島南部で建設が進む「串本太地道路」は、半島のこうした弱点を補強する意味合いを持つ自動車専用道路で、従来から紀伊半島沿岸部を結んでいる「国道42号」をバイパスする役割があります。 串本太地道路は串本町と那智勝浦町をつなぐ18.4kmの道路で、幅員は12.0mの2車線(片側1車線)です。 北東側はすでに開通している那智勝浦道路と接続し、西側ではこちらも建設中の「すさみ串本道路」と接続します。 この他、国道42号のエリアでは「熊野道路」や「紀宝熊野道路」の建設が進んでおり、これらが完成すると既存の道路と合わせて紀伊半島を周回する自動車専用道路網ができ上がります。 道路網によって利便性が上がるだけではありません。国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所の担当者は、次のように話します。 「現状の国道42号は、沿岸部を走っています。そのため、南海トラフ地震が発生すると、串本太地道路と併行する区間の国道42号の8割が浸水するとされています」(同) つまり、南海トラフ地震が発生した際、周辺地域が交通面で孤立しない役割を串本太地道路が担っているということです。また、新宮市に住み、国道42号を車で走る機会の多い筆者の知人に話を聞くと、次のような現状の不安と開通への期待を教えてくれました。 「新宮や太地の方から串本へ行くときは、海と急勾配の山に挟まれている場所も多いのです。なので、運転中は津波が来ても家族を抱えて駆け上がれる場所がないか、チェックしながら走っています。 串本太地道路には、移動の利便性以上にこうした被害の抑制や災害時の物資運搬経路として期待しています」(筆者知人)