米中「部分合意」で日本株が大幅続伸 この勢いは本物か?
日本株が大幅続伸しています。16日の東京株式市場は2万2000円台半ばの値をつけ、年初来高値を更新しました。この勢いは本物なのか。第一生命経済研究所・藤代宏一主任エコノミストが、世界の半導体売り上げに着目して考察します。 【グラフ】米ISM指数が悪化 景気減速の懸念は現実となるか?
世界のIT関連財の市況好転を期待させる動き
米中貿易協議が「部分的合意」に至ったことなどを好感して10月15日の日経平均株価は2万2000円台を回復しました。11日まで行われた協議の結果、10月15日から上乗せされるはずだった対中関税は先送りされ、金融市場に安心感が広がった形です。ここだけで判断すると、米中の政治動向が日本株の趨勢を決めているように思えてしまいますが、筆者は日経株上昇のより本質的な理由として、世界的な製造業の景気底打ち感が大きいと考えています。この見方が正しければ、日本株上昇は一過性のものではなく、持続的なものになると思われます。 製造業の景気といえば、9月の米ISM製造業景況指数が非常に弱い内容だったことから、底打ちはまだ先との見方も多い様子ですが、一方でIHS Markit社が国ごとに作成・公表する製造業PMI(購買担当者景気指数)は米国や中国などで上向いており、グローバル製造業は2か月連続で改善しています。グローバル製造業PMIは7月の49.3をボトムに9月は49.7まで水準を切り上げ、製造業セクターが最悪期を脱したことを示唆しています。 この動きと整合的に世界半導体売上高の減少に歯止めがかかりつつあるのは朗報です。8月の世界半導体売上高は前年比▲15.9%と、依然リーマンショック以降で最大級の落ち込みを示していますが、細かくみると6月の▲16.5%をボトムに底打ちしつつあり、半導体を中心とするIT関連財の市況好転を期待させる動きになっています。IT関連財はシリコンサイクルと呼ばれる4年サイクル(上昇2年・下降2年)を持つことが知られていますが、今回の底打ちは2017年末頃をピークとする下降局面が終わりに近付いていることを示唆しているようです。