2週連続V達成の19歳怪物ルーキー笹生優花はなぜ”女タイガー・ウッズ”と呼ばれるほど強いのか?
身長166センチ、体重63キロの恵まれた体格。決して筋肉質な体ではないが、強さとしなやかさを併せ持つバランスの取れた体であることは傍目でもわかる。そして、これこそが、飛ばしの源だと指摘するツアー関係者は多い。 パワーゴルフ全盛の男子の影響で、女子も専属のトレーナーと契約し、筋力アップのトレーニングを積極的に取り入れている選手が増えてきたが、筋骨隆々の体は、ゴルフにとって百害あって一利なしと言われている。 肩回りの筋肉を必要以上につけると繊細な動きが要求されるグリーン周りの小技に悪影響をおよぼし、ドライバーなどウッド系のクラブを振る際も肩が邪魔になってスイングバランスを崩す原因ともなる。 オフのトレーニングでサイズアップした渋野日向子(21、サントリー)は、今季開幕戦の「アース・モンダミンカップ」、8月の米ツアー「スコットランドオープン」の直前に「トレーニングをやったので筋肉痛で体が痛い」とこぼしていた。渋野の場合、過度とも思えるトレーニングも予選落ちに関係していたのかもしれないが、笹生のトレーニングはそうではない。 専らランニングが中心で、コロナ禍の自粛期間中も東京都内の自宅から「片道30分のところにある場所まで行って、1時間くらい走っていた」という。スポーツの原点である“走る”というトレーニングが強靭な下半身を作り上げている。 そして“元祖飛ばし屋“の“レジェンド”ジャンボ尾崎の教えを請うたことも見逃せない。専属コーチはおらず、今もコーチはゴルフの最初の師である父の正和さんだが、その父が、「飛ばし屋は飛ばし屋に勉強させてもらうのが一番」との理由で、プロテスト合格後に尾崎将司に弟子入りさせた。ジャンボの練習コースもある自宅で徹底した指導を受けながら技術力を磨いた。 ゴルフのスイング自体が腹斜筋など体幹を鍛える動きなのだから、極端なウエイトトレーニングは過ぎたるは及ばざるが如しのトレーニングである。笹生は並はずれた身体能力をゴルフの技術へアウトプットすることをジャンボの指導で身につけつつあるのである。 プロ3戦目にして生涯獲得賞金額は5000万円を超えた。それでもまだ金銭感覚は19歳らしく、「優勝のご褒美?昨日、焼肉を食べちゃったからそれがご褒美になっちゃった。しゃぶしゃぶって贅沢でしょう。一年に一回しか食べられません」とメディアを笑わせた。 「目標は世界一」と公言している女子ゴルフ界に現れた“新怪物”は、続いて9月4日から岐阜県瑞浪市の「GOLF5カントリーみずなみコース」で行われる「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」に出場予定だ。