天皇陛下62歳誕生日会見(全文) 愛子さま20歳 「大人の仲間入りをすることになったことを感慨深く思う」
全国各地のオンライン訪問は意義深い
新型コロナウイルス感染症の影響により、国民の皆さんと広く直接触れ合うことが難しくなっていることを、私も雅子も残念に思っています。それでも、オンラインにより昨年3月、4月に東日本大震災被災3県を訪問して行った復興状況の視察をはじめ、全国各地をオンラインで訪問することにより、現地の方々のお話を伺い、交流することができたことは、私たちにとって意義深くありがたいことでした。 例えば、5月のこどもの日にちなみ、熊本県の阿蘇山のふもとにある高森町と、鹿児島県の離島である三島村の学校を半日のうちに続けて訪問し、それぞれ特色のある地域の子どもたちと交流できたことや、第5回国連水と災害に関する特別会合に各国の研究者と一緒にオンラインで参加できたことは、オンラインの活用が感染症対策としての利点だけではなく、例えば複数の場所にいる人々に同時に会うことができたり、離島や中山間地域など通常では訪問がなかなか容易にできない地域の人々とも比較的容易に、しかも臨場感をもって交流することができるという利点と可能性があることを、改めて実感させてくれるものでした。 さまざまな場所を実際に訪れ、現地で多くの人々と直接お話をしたり、同じ体験を共有したりしながら、その土地、その土地の雰囲気を肌で感じるなど、実際の訪問でなければなし得ない部分はあるものの、感染が収束しない現状では、オンラインは国民の皆さんや世界の人々と私たちを結ぶ上で有効な手段と考えられます。オンラインなりの課題もあるかもしれませんが、状況に応じた形で引き続き活用することができればと思っています。また、感染収束後もオンラインを活用することが適当な場合には、その活用も視野に入れていきたいと思います。 新型コロナウイルス感染症の影響により、現在はさまざまな形の交流が難しく、じかに会って人と人との絆を深めたり、つながりを広げたりすることが容易ではない状況が続いておりますが、そのような中にあっても、皆がお互いのつながりを大切にしながら、心に希望の火を絶やさずに灯し続け、さらには国や地域の境界を越えて人々や社会がつながり、お互いを認め合い、支え合える年になってほしいと願っています。 上皇陛下には昨年暮れに米寿を迎えられ、上皇后陛下には今年米寿を迎えられることを喜ばしく思います。昨年12月と今年の元日に、久しぶりに両陛下に私たち2人そろってお会いできたことをうれしく思っております。また、日ごろより、私たちや愛子を温かくお見守りいただいておりますことをありがたく思っております。両陛下には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にお心を痛められつつ、日々を送っておられることと拝察いたします。これからもお体を大切に、末永くお健やかにお過ごしいただきますよう、心よりお祈り申し上げます。