天皇陛下62歳誕生日会見(全文) 愛子さま20歳 「大人の仲間入りをすることになったことを感慨深く思う」
THE PAGE(宮内庁提供映像)
天皇陛下が23日、62歳の誕生日を迎えられた。それに先立ち記者会見を行い、五輪での国際交流や環境問題への対応、コロナ禍や震災復興、ご家族への思いなどを語られた。以下はその全文。 【動画】天皇陛下62歳に 「人と人との交流が国や地域の境界を超え、お互いを認め合う平和な世界に」
コロナの現場で尽力する人たちに感謝
幹事社:宮内記者会の幹事を務めております、TBS テレビの牧嶋博子と申します。天皇陛下におかれましては、62歳のお誕生日をお迎えになりますこと、記者会を代表して心からお喜び申し上げます。また、昨年末には愛子内親王殿下が20歳の成年を迎えられました。本当におめでとうございます。 コロナ禍が続く中、このような記者会見の場を設けていただき深く感謝申し上げます。国民にとりまして、陛下のお考えを知る貴重な機会となります。私たちもしっかりと伝えていきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。 天皇陛下:どうぞ。 幹事社:この1年は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、東京オリンピック・パラリンピックのほか、皇室では御所へのご移居や上皇さまの米寿のお誕生日などさまざまな出来事がありました。印象に残った出来事についてお聞かせください。国民と直接触れ合う機会が限られる状況の中、オンラインで各地を訪問された感想や、今後ウィズコロナやポストコロナでの活動のあり方についてもお考えをお聞かせください。 天皇陛下:この1年も、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るいました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、家族、友人など大切な方を亡くされた多くの方に心からお見舞いを申し上げます。 感染症の影響により仕事を失ったり、苦しい生活状況に陥る人、孤立を深める人も多く、心が痛みます。医療従事者の皆さんは、自らの感染の脅威にさらされながら、強い使命感をもって昼夜を問わず最前線で患者さんの命を救うための尽力をされています。また、罹患した人々を適切に医療現場につなぐべく、同様に尽力されている救急隊や保健所などの関係機関の皆さんのご苦労もいかばかりかと思います。そして、このコロナの状況下で支援を必要としているお年寄りや障害のある方、生活に困窮している方や生活困窮世帯の子どもたちなど、社会的に弱い立場にある人々を支え、その命と暮らしを守るために力を尽くされている方が多くいることや、エッセンシャルワーカーの皆さんが多くの人の日々の生活を支えていてくれることもありがたく思っています。これら多くの方々に心からの感謝の気持ちを伝えたいと思います。 長引く感染症の感染拡大への対策を継続することは、大きな努力を要します。親しい人との直接的な接触を避け、暮らしの隅々にも注意を払うよう、自らのできる範囲で感染の拡大防止に努めている人も多くいると思います。こうした国民の皆さん一人ひとりの努力を深く多といたします。 長く困難な状況が続いておりますが、今しばらく、誰もがお互いを思いやりながら痛みを分かち合い、支え合う努力を続けることにより、この厳しい現状を忍耐強く乗り越えていくことができるものと固く信じております。