米挑戦3戦目の渋野日向子が予選通過も迷い込んだ袋小路
戦い終えた直後に発した第一声が、渋野日向子(21、サントリー)の胸中に渦巻いている思いを表していた。 「もう『情けない』のひと言ですし、本当に『悔しい』のひと言です」 大西洋に面した米国ニュージャージー州のシービュー・ドルチェホテル・ベイコース(パー71)で開催されている、アメリカ女子プロゴルフツアーのショップライトLPGAクラシック。初日を3アンダー、22位タイで発進した渋野は2日目でスコアをひとつ落とし、4バーディ、5ボギーの1オーバーで不完全燃焼の思いとともに予選を通過した。 自分自身に対して苛立ちを募らせた原因はパッティングにあった。迷いを象徴していたのがピンの左2.5メートルに1オンした17番のパー3(107ヤード)だった。嫌な流れを断ち切るはずのバーディパットで、渋野は「私が完全にラインを読めていなかった」と唇を噛みしめた。 「キャディさんと意見が分かれちゃったんですね。スライスとフックとで。私がフックと言ったところを、キャディさんはスライスと言って、迷ってまっすぐに打ったところスライスだったので」 最後はどちらかわからなくなって、まっすぐのラインで打ったのだろう。果たして、ボールはスライスしてカップの右を通り抜けていく。2018年のファイナルQTからバッグを担ぐ、定由早織さんの読み通りだったとわかった瞬間に、渋野は自身の感覚に大きな狂いが生じていることに気がついた。 「自分がラインを読めていないと、やっと気づきました。今日は距離感も全然合っていなかったし、読みに関してもうーん、と考えながらやっていた。1メートルの距離でも影響してしまっているので、ちょっとどうしようもない状態です。ラインを読む練習をしても、ちょっとどうなのかな、と」
初日も後半の3番パー5(465ヤード)、6番パー4(396ヤード)、8番パー4(323ヤード)で3パットを叩き、それぞれボギー、ボギー、ダブルボギーとしていた。それでも前半で5アンダーをマークした貯金で22位タイにつけたなかで、2日目も再び6番で3パットのボギーを叩いてしまう。 5番ホールまでにバーディを2つ先行させていたなかで、嫌な記憶を蘇らせてしまったのか。続く7番パー3(193ヤード)も2オン2パットのボギー。後半に入って10番パー4(343ヤード)、12番パー4(303ヤード)でバーディを先行させたものの、その後にまさかのプレーが続く。 14番パー4(410ヤード)、15番パー3(205ヤード)16番パー4(386ヤード)とすべてパーオンしながらも立て続けに3パットを演じて、2日目のスコアをオーバーパーに転じさせてしまった。 しかも、パッティングの内容が悪かった。14番と15番は長いバーディパットを強気に打ってオーバーし、返しのパーパットも外した。ひるがえって16番はこの日初めてのショート。パーパットも外した瞬間に思わず首を傾げた。強気のパッティングは渋野の武器のひとつでもあったが、カップに届かなかった16番では、図らずもパッティングに迷いが生じていることが伝わってきた。 「この2日間、3パットのオンパレードなので。それを減らしていかなきゃいけないんですけど」 初日と合わせて7回も叩いた3パットに、ホールアウト後の渋野は苦笑いを浮かべるしかなかった。パッティングへの不安がショットにも影響したのか。初日にイーグルを奪った18番パー5(510ヤード)では2オンはおろか、3打目もグリーンをキャリーでオーバー。何とかパーをセーブした。