大阪・新世界を駆ける元自衛官の女性人力車夫 コロナ乗り越え大きな一歩
大阪・新世界を駆ける元自衛官の女性人力車夫 コロナ乗り越え大きな一歩
大阪のシンボル「通天閣」がある人気観光スポットの新世界(大阪市浪速区)。そこで最近、観光客を乗せて元気に駆ける女性人力車夫が街に新たな風を吹かせている。聞けば、これまでに自衛官やホテルの女将などを経て車夫になった異色の経歴の持ち主。「車夫が天職」と語る彼女がこの仕事にたどりつくまでの話を聞いてみた。 【動画】元自衛官の女性人力車夫が大阪新世界で奮闘中。その仕事ぶりを追ってみた
重たい人力車もへっちゃら、笑顔でガイド
今秋から新世界人力車「俥天力(しゃてんりき)」で車夫として働く板倉あられさん(22)は兵庫県尼崎市の出身。人力車に乗るお客さんに名刺を渡すと、多くの人は「あられって芸名?」と聞いてくるが、これは本名。自身が生まれた日に尼崎にあられが降っていたことから名づけられたという。 人力車の重さは約90キロあり、そこに大人2人が乗った場合はかなりの重量に。しかし、板倉さんは笑顔でガイドをしながら走る。 「この仕事ができることが楽しくて」と語る板倉さんだが、車夫になるまで、どのような道を歩んできたのだろうか。
自衛隊では訓練の日々
子どものころ、両親は自営業だったため夜も家を空けることが多かったが、自宅では犬や猫を飼っており、一緒にすごすうちに動物が大好きになり、大阪府内のドッグトレーナーなどを養成する学校へ。そこで自衛官を目指す同級生の影響を受け、卒業後は陸上自衛隊へ入った。 「有事があった際に備え、いつでも出動できるよう訓練の日々でした。ほふく前進とかもしたり、大変な訓練が多かったですね」と当時を振り返る板倉さん。2年間の勤務を経て退官。次に選んだ職業は関西の結婚式場のブライダルプランナーだった。
ブライダルプランナーに就くも新型コロナの影響で解雇に
結婚式の企画・立案のほか、音響や映像、照明などの業務も行うなどハードな環境だったが、多くの人の幸せな舞台を演出する仕事にやりがいを感じていた。 「お客様と話しながら、新郎新婦さん、ゲストの方々が式で笑顔になったり、うれしくて泣いている姿をみるたびに『この仕事をやってよかった』と思いました」と板倉さん。