大阪・新世界の観光現状は? 通天閣社長「綱渡りの経営」人力車俥夫「耐えしのぐしかない」【#コロナとどう暮らす】
大阪・新世界の観光現状は? 通天閣社長「綱渡りの経営」人力車俥夫「耐えしのぐしかない」【#コロナとどう暮らす】
今月3日、大阪・新世界の老舗ふぐ料理店「づぼらや」(大阪市浪速区)の巨大ふぐ看板が撤去され、店舗に「ほな!さいなら」というメッセージが掲げられたことが話題となった。大正9年創業の老舗が新型コロナウイルスの影響などによる経営悪化で今月15日に閉店するためだが、大きな名物が消え、大阪を代表する観光地、新世界に衝撃が走った。しかし、地元の商売人たちは「感染を抑えつつ経済も回さねば」と、日々必死になって奮闘中。そんな現状を地元をかける人力車俥夫(しゃふ)と通天閣観光社長に聞いてみた。 【拡大写真】大阪モデル周知点灯に協力していた通天閣 8月31日撮影時には、まだ「づぼらや」のふぐ看板もあった
新世界・丸めがねで人力車曳く元自衛隊員の俥夫
「ふぐ看板が消えると、風景が一変してしまいました。僕らの商売もこの半年で一変しましたけど」と話すのは、先の巨大ふぐ看板付近を拠点に、人力車観光業「俥天力」を営む俥夫の國領翔太さん。2012年から愛嬌のある丸メガネに短髪姿で人力車を曳く姿は、いまや新世界の名物となっており、「翔ちゃん」の愛称で親しまれている。 そんな國領さんの前職は自衛隊に所属。高校卒業後の2004年に入隊、タンプ車両中隊などにも配属され、2006年に任期満了で退職後、京都で見かけた人力車俥夫にあこがれ、修行を積んで新世界で独立したという苦労人だ。 開業当初は、新世界でなかなか人力車が根付かなかった。しかし、営業努力を重ね、新世界の商店主らからも一目置かれ、商店会の会議などにも呼ばれるようになり、新世界の盛り上げにも一役買っている。
桜めぐり、婚礼人力車などがすべてキャンセルに
近年は、大阪がインバウンド(訪日外国人客)により活性化した波に乗り、新世界もあふれんばかりの人でにぎわいをみせていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で客足は途絶えていった。 「2月までは順調でしたが、3月くらいから感染拡大の影響が出始め、4月の緊急事態宣言直前から5月末まで休業しました」(國領さん) 新型コロナウイルスの影響で、人力車での新世界めぐりをはじめ、出張形式で行う春の桜めぐり、婚礼人力車の予約もすべてキャンセルとなった。