“建築界のノーベル賞”を知っている?世界に誇る建築家・山本理顕の代表作5選|プリツカー賞 9人目の日本人受賞者が手掛ける建築をご紹介
“建築界のノーベル賞” と呼ばれるプリツカー賞を2024年に山本理顕(やまもと りけん)さんが受賞。日本人の受賞はこれで9人目となりました。 【写真23枚】世界が讃える建築家の建物はどんな作品か?美術館や集合住宅、空港や市庁舎など国内外の実例を知ろう! 審査委員長であり2016年のプリツカー賞 受賞者のアレハンドロ・アラヴェナさんが「パブリックとプライベートの空間の境界を巧みにぼかすことで、コミュニティの活性化に貢献している」と評したように、山本さんが手掛ける建築は、コミュニティに対する考え方がポイントの1つになります。 今回はそんな背景も頭に入れながら、山本さん率いる「山本理顕設計工場」による建築作品を振り返ってみましょう。
建築家・山本理顕さんとは?
1945年 中国 北京生まれ。第二次世界大戦終戦後に横浜に移住。17歳のときに訪れた、奈良の興福寺五重塔に魅了され、建築の道を志したのだそう。 1968年に日本大学理工学部建築学科を卒業し、1971年に東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修士課程修了。 学生時代は建築家の原広司さんに師事し、世界各地の集落を研究しました。集落調査では、公と私の空間をつなぐ “閾(しきい)”※ に着目し、建築家となってからも新たな “閾” のあり方を設計のなかで実践。 また、現代の日本社会で一般的な「1住宅=1家族(1つの住宅に1つの家族が住む)」という枠組みに替わる、地域コミュニティを前提とした新しい暮らし方のモデル「地域社会圏」を提唱するなど、建築設計を通じて社会のあり方を問い続ける建築家としても知られています。 ※外からの人を家へ迎え入れるための空間。例えば、客間や玄関のたたき、縁側など。
1. 横須賀美術館(2006)/神奈川県
北側が海に面し、三方を山に囲まれた観音崎公園の一部に立つ美術館。 外観は2層の壁が特徴的で、外側を劣化に強いガラスで覆い、内側を穴の空いた鉄板で覆うことで、建物を潮風から守りながら適度に光を取り込む構造になっています。 設計のコンセプトの1つは、地形を利用して景観と建物とを一体化させること。 海側からみたときに背後の森へと視線が抜け、山側から降りてきたときには屋上広場で眺望楽しんだのち自然と建物のなかに入っていけるように、建物の半分は地面に埋まっています。 海側・山側の2方向から通り抜けられるつくりで、周辺散策と併せて楽しめるように無料で利用できる空間も多く設けられているのも特徴的です。