最新エッセイ集も売行き好調! ハライチ岩井さんに聞く、食べることへのこだわりと向き合い方【前編】
――岩井さんはしっかりしているイメージがありますが、常に計画的に行動するタイプですか? いや、全然ですね。整理整頓はできるし、計画立てるのも得意なほうです。でも、できることと好きなことは違うというか、明日以降のことを考えたくないんですよ。約束したくないんですよね、人と。 例えば、旅行も下調べとかもせず、何も決めずに行きます。行ってから、さてどうしようかと、気分で決める。事前に決めてしまうと、当日までに行きたくなくなっちゃうので。あんなに楽しみにしていたのに、これやんないといけないのか……と思って嫌になるというか。現地に着いてから、ノリでここ行っちゃうか! とやった方が楽しいので。 ――行き当たりばったりだと、当たり外れがありませんか? 計画して行くほうが、期待してる分、それを下回ったら嫌じゃないですか? 計画しないでハズレを引いても、もともと期待値が低いので別にガッカリしない。 人とメシ行く約束もほぼ当日です。事前に約束しないで、電話かけて捕まった人と行くみたいな。いちばん仲が良い害虫駆除の会社をやっている友達はそんな感じなんですよね。時間があっても相手も事前に約束しないし、土壇場でキャンセルすることも普通にあるし、逆に俺もキャンセルされて全然いいし。 ――ドタキャンされて怒ったりしないですか? 怒ったりは全然しませんね。キャンセルされたら、それはそれで、じゃあそこからどうしようかってなるだけですから。これまで、相当すっぽかされてきましたけど。でも、こっちもたまに同じことやるんでね(笑) ――エッセイを読んでいると、何事にもきちんと理屈を組み立てて、どう対応するか、または放置するか、強い気持ちがいつでもありますね。 そういうスタンスでいれば落ち込まないんですよね。原因をうやむやにしているから、ストレスが溜まって落ち込むんです。原因を探ると「これがあるから嫌な気持ちになっている」とわかる。「じゃあ、こう対処しよう」と考えればいい。もし原因を探って解決不能なことだったら、「これは解決しないんだから落ち込む必要はない」と思えます。うやむやにしてるのがいちばん鬱屈が溜まっていきますよね。 対人関係の場合だと、なにか嫌な気持ちの原因を探りたくて相手を追及することはありますが、別に怒ってるわけじゃない。相手からは怒っていると捉えられることもあるんですけど、原因が知りたいだけなんですよね。感情的にはなってないんですよ。感情的になって解決するなら感情的になるんだと思いますけど。でも解決できないなら感情的になる必要がないですよね。