最新エッセイ集も売行き好調! ハライチ岩井さんに聞く、食べることへのこだわりと向き合い方【前編】
――エッセイ本にはラジオで話した内容もいくつか収録されていますが、文章だとラジオで聞く話の印象とはまた違いますね。 ラジオで話したことも、実は文章にできないことがいっぱいあるんですよね。お笑い的にこのニュアンスは面白いな、って思って喋ったとしても、それだけでは文章にはできない。やっぱり「共感」や「あるある」とか、なんか発見があるもの。なんとなくみんな言及しないけど、うっすら思ってることを言語化してハッとなる。そういう要素が入っていないと、文章としては書けないかなと思ってます。 ――岩井さんの文章を読むと、描写の丁寧さに驚かされます。読み手はその場にいないのに、どういう状況か理解しやすく、感情移入しやすい。 そこはいちばん意識しているかもしれないですね。「ご存知……」みたいな雰囲気が恥ずかしくて。「知らないよ、お前のことなんか!」という声が聞こえてくる。知っている支持者だけに向けて書いてると、「悦に入っているなお前は!」という声が聞こえてくるんです。それがすごく好きじゃなくて。 漫才も同じです。例えば俺たちハライチのことを誰も知らない人だけが住んでる島に行って、二人で居酒屋に入って、地元の人たちで盛り上がっているところでパッと漫才やってウケるというのが、いちばん良い漫才だと思ってるんで。だから、前提を知っていないとわからないものは書かないようにしてるんです。 まぁ、もともと漫才は落語を見に来ている客や落語家さんたちを盛り上げるために生まれたもの。そして文学界的にも、俺のこと知っている人なんかいないと思ってるんで、同じように謙虚に考えてます。
――エッセイ本にはラジオで話した内容もいくつか収録されていますが、文章だとラジオで聞く話の印象とはまた違いますね。 ラジオで話したことも、実は文章にできないことがいっぱいあるんですよね。お笑い的にこのニュアンスは面白いな、って思って喋ったとしても、それだけでは文章にはできない。やっぱり「共感」や「あるある」とか、なんか発見があるもの。なんとなくみんな言及しないけど、うっすら思ってることを言語化してハッとなる。そういう要素が入っていないと、文章としては書けないかなと思ってます。 ――岩井さんの文章を読むと、描写の丁寧さに驚かされます。読み手はその場にいないのに、どういう状況か理解しやすく、感情移入しやすい。 そこはいちばん意識しているかもしれないですね。「ご存知……」みたいな雰囲気が恥ずかしくて。「知らないよ、お前のことなんか!」という声が聞こえてくる。知っている支持者だけに向けて書いてると、「悦に入っているなお前は!」という声が聞こえてくるんです。それがすごく好きじゃなくて。 漫才も同じです。例えば俺たちハライチのことを誰も知らない人だけが住んでる島に行って、二人で居酒屋に入って、地元の人たちで盛り上がっているところでパッと漫才やってウケるというのが、いちばん良い漫才だと思ってるんで。だから、前提を知っていないとわからないものは書かないようにしてるんです。 まぁ、もともと漫才は落語を見に来ている客や落語家さんたちを盛り上げるために生まれたもの。そして文学界的にも、俺のこと知っている人なんかいないと思ってるんで、同じように謙虚に考えてます。