最新エッセイ集も売行き好調! ハライチ岩井さんに聞く、食べることへのこだわりと向き合い方【前編】
エッセイは追い込まれないとしない「走り込み」のようなもの
――エッセイ本が売れたことで、周囲やご自身の中で変わったことはありますか? 山形に旅行に行った時に、何回か連続で「エッセイ本読んでいます」と地元の人に声かけられました。なぜか普通のスーパーにもエッセイ本が置いてあって。そうか、地方だと俺エッセイストなんだなって(笑)。その程度ですね。 ――岩井さんの日常でエッセイの執筆は、どのくらいの部分を占めていますか? パーセンテージで言うと、0.2%くらいじゃないですか? ――思ったより少ないですね(笑)。以前、「マジ歌選手権」(テレ東の人気番組「ゴッドタン」のオリジナルソング発表企画)では、締め切りを逃れるために風呂に入り、冷たくなるのを待ってそのまま死んでいく、なんて歌詞も披露されてましたが、今も追い込まれる感じはありますか? 基本、追い込まれないと書けないです。文章を書くのは、筋トレか、走り込みみたいな感じだと思っていただければ。走り込みって「走り込んだほうが体にいいだろうな」と思ってやっているだけで、走り込み自体が目的じゃないですよね。だから文章がなかなか進まないんですよね。
超ポジティブ思考でフットワークが軽い
――今回のエッセイでは、固有名詞が伏せられていますよね。例えば、サンシャイン池崎さん、伊集院光さん、日村勇紀さんと思しき人名が伏せられ、芸人の先輩、同期などと書かれています。これは意図的なものですか? さっきお話しした、「ご存知……」みたいな雰囲気が恥ずかしいって話と同じです。固有名詞って、それを知っていないと入り込めないところがあるから。有名人だとか関係なく、芸能に興味ない人でも読んでもらえるようにしたくて。 そもそもサンシャイン池崎とか伊集院さんが話に出てくると、じゃあ、そんな芸能人と繋がりがある書き手は何やってるヤツなんだ? ということになるわけじゃないですか。そうすると、芸能をやっていて、お笑い芸人をやっているということも書く必要が出てくる。芋づる式に余計に書かなければいけないことが多くなってくるのを避けたいというのもありますね。 ――でも岩井さんを好きで読んでいる人も多いわけですよね。 書くならきちんと書きたいし、書かないなら書かないで統一したい。性格的に辻褄が合っていないとイヤなんですよ。ここ説明しているのにここではしないんだ、おかしいじゃん、みたいな。基本的には、その説明をしなくていいように書いています。 ――世間的なイメージでは、相方の澤部佑さんは明るく、岩井さんはどちらかというとネガティブな印象が強いですが、エッセイを読んでいると、スーパーポジティブな性格に思えます。割と行動的ですよね。 漫才のボケ方がネガティブなんで、そういうイメージになっているんだと思います。フットワーク軽いですし、基本、楽観的ですし。怒られても誰かのせいにすれば良いと思ってるので(笑)。澤部より俺のほうが友達多いし、どこか出かけることが多いのも俺ですしね。