名医・小林弘幸が「毎日音楽を聴く」ことを習慣にしているワケ。「電車の音やお経で眠くなるのも理由があって…」自律神経と音楽の関係を解説
「自律神経は50歳を過ぎると、野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がる」――。そう語るのは、自律神経の名医・順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。避けて通れない<老い>の真っただ中で、自律神経を整えて楽しく過ごしていくためには、どのような習慣を身に付けたら良いのでしょうか?今回は、小林教授の著書『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』から、すぐに実践できる<老いない習慣>を一部ご紹介します。 【書影】自律神経の名医が、老け込まないコツを医学的視点から語る!小林弘幸『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』 * * * * * * * ◆音楽を聴くだけで体調が整う 私の場合、音楽を聴くことは毎日の暮らしの中で絶対に必要なことです。若いころから今に至るまで、ずっと聴いています。これからじっくり取り組みたいことの一つに作曲もあります。どんなものを作曲したいかといえば、聞くと心が落ち着くような、自律神経を整える音楽です。 音楽は自律神経のバロメーターでもあります。どんなによい曲でも、聴いていて入り込めるときもあれば、雑音にしか聞こえないときもあります。自分の好きな曲を聴いて、不快に感じるかどうかで、自分のストレス具合や疲労度をチェックできます。 極端な話、ストレスがたまってイライラしているときは「こんなときに音楽なんか聴いている場合じゃない!」となります。音楽を聴いていて、「まだ聴いていたい」「あの曲も聴きたい」と、「もっと」と思えるときは自律神経の状態がよいときです。 逆に、特に聴きたい曲が思い浮かばないときは、自律神経の状態があまりよくないときです。そんなときでも、聴いた曲によって感情がコントロールされて、前向きになれることもありますし、音楽が自律神経にもたらす影響は無限大です。
◆食事、睡眠、運動、音楽 自律神経をよい状態に保つための基本戦略は三つで、食事、睡眠、運動です。この三つに何か一つだけ付け加えるとしたら、私は音楽を挙げます。 これまで、シンガーソングライターの方と協力して、実際に自律神経を整える音楽をつくってCDブックを出版したことがあります。読者の方から、「更年期の症状がつらかったときに、聴いたら落ち着きました」「ペットとの別れで苦しんでいたときに、心が楽になりました」などのお手紙をいただきました。 音楽を聴くだけで、緊張がほぐれたり、心がほんわかしたり、夜眠れるようになったり、頭痛や便秘が改善するということが実際にあります。年代によっては音楽を聴く習慣のない方もたくさんいらっしゃることでしょう。 日常的に音楽を聴く習慣がない方は、今からでもぜひ音楽を聴く習慣を身に付けていただけたらと思います。満員電車の中、眠れない夜、つらいことがあったとき、体調がすぐれないとき、必ず癒してくれます。
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