名医・小林弘幸が「毎日音楽を聴く」ことを習慣にしているワケ。「電車の音やお経で眠くなるのも理由があって…」自律神経と音楽の関係を解説
◆なぜ音楽が自律神経によいのか ではなぜ音楽が自律神経によいのか、という話ですが、少し専門的な話になります。 人間の脳波は5種類ありますが、周波数の大きいものにα(アルファ)波とβ(ベータ)波があります。α波は休息中やリラックスモードのときに出る脳波で、β波は集中しているときなど活動モードのときに出る脳波です。 ちなみに心拍数が上がるとβ波が多く出て、心拍数が下がるとα波が多く出ます。実際に、音楽を聴くだけで心拍数に変化がおき、α波やβ波が出ることも、実験で証明されています。 ではどんな音楽が、これらの周波数を発生させやすいのか、ということですが、β波が出やすい音については、よく分かっていない部分が多々あります。 一方で、α波については、ある程度特徴があることが分かっています。一言でいえばメトロノームのように、一定のリズムをキープした曲です。ですから、イライラしているときは、こういった曲を聴くと心拍数が落ち着いて、自律神経も安定します。
◆自律神経が整う音楽の特徴 そういう意味では、電車の音はこれに当てはまりますし、お経もぴったりです。電車に乗ると眠くなるのにも、不謹慎ながら法事などで眠くなってしまうことにも、きちんと理由があるのです。 自然の音ならば、海の波の音、雨の音なども一定のリズムのくり返しなので、理想的です。クラシック音楽でいうと、バッハやモーツァルトはα波が出やすいといわれていますし、一定のくり返しが続くヨハン・パッヘルベルの『カノン』もα波が出やすい曲の代表です。 その他、私が考える自律神経が整う音楽とはこんなものです。 (1)テンポ:スローなもの。最初から最後まで一定のテンポで進むもの (2)メロディ:メロディアスなほうがよい。自然に頭に入りやすいもの (3)音色:立体的で深みのある音。吸い込まれるようなイメージがあるもの 私が考える音楽の一番の魅力は、イメージがどんどん広がることです。心を刺激されて、聴いた曲の個性に合わせてさまざまな感情がわいてきます。 また、聴く人によって、100人聴けば、100とおりの解釈があるのも、単純にすごいことだな、と思います。音楽を聴いて悪いことは何一つないですね。 ※本稿は、『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』(講談社)の一部を再編集したものです。
小林弘幸
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