【ABC特集】雨の降り方が変わった!? 地球温暖化が豪雨を生むメカニズムとは 命と暮らしを守るため取り組むべきこと
「1950~2100年にかけて、南からどんどん水蒸気が入ってくる。それらの水蒸気がどう北に来たり、日本海側に回るようになるかが表現されている」 中北教授らの研究では、世界の平均気温が工業化前に比べて2℃上がると、日本の梅雨豪雨の回数は2割ほど増え、4℃上がると豪雨の回数は約5割増え、北海道でも梅雨が起きるようになると予測しています。
豪雨が少なかった地域で被害が…“海洋熱波”とは
“豪雨が増える”。大きく影響しているのは、海面水温の上昇です。 日本近海では、海面水温が極端に高い「海洋熱波」と呼ばれる現象が発生しています。
北日本の海では去年、平年に比べて海面水温が5℃高い現象が起きていて、今年も高い状態が続いています。 (中北教授)「海面水温が高いと、海から水が蒸発しやすくなる。たくさんの湿気が、より日本に流れてくる」 (記者)「Q.海面水温が高いほど、豪雨になる確率も高まる?」 (中北教授)「そういうことになります」 温暖化で、豪雨の原因となる「水蒸気」がどんどん増えて、日本各地に流入してくるといいます。
特に、これまで豪雨が少なかった東日本で顕著になっています。 ことし7月、山形県新庄市では、24時間で389ミリの雨が降りました。これは、平年7月に降る1ヵ月の雨量の1.8倍にあたります。 (中北教授)「地球温暖化で『こんな場所で、豪雨が起きたっけ?』というような場所でも、豪雨が起きるようになる。より東や北日本でも起きるようになるというのが特徴。豪雨のときは、降る量がなめたものではない。それは温暖化によって、水蒸気がどんどん入り込んでいるからだ」
渇水と洪水 ダムの運用が難しくなる
温暖化で豪雨が増えると、より難しくなるのが「ダムの運用」です。2013年9月、京都府南丹市の日吉ダムでは、台風18号による大雨で水位が23.7mも上昇しました。マンション7階の高さ分に相当します。水位は、洪水の時に想定していた「最高水位」を超えていました。 また、2018年7月の西日本豪雨では、愛媛県のダムがほぼ満水になり、緊急放流されました。川が氾濫し、5人が命を落としました。 (中北教授)「温暖化で、雨が降るときは降る。降らないときは降らない。渇水と洪水が、よりシビアになる」
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