【ABC特集】閑散期の夏のはずなのに…貴金属買い取り店が好調? 旅行代捻出にタンスの中を大捜索 “物価高騰”が及ぼす意外な影響
8月は「閑散期」とされる貴金属買い取り店ですが、今年の夏は少し事情が異なり、客足がのびているといいます。一体なぜなのか?キーワードは「物価高騰」と「旅行費用」でした。
大阪市中央区、道頓堀の近くにある、貴金属・時計買い取り店の「ブランドラボ大阪本店」。
8月初旬の昼下がり。訪れた女性が査定を依頼したのは、高級ブランド「シャネル」のバッグ3点です。
鑑定士の上田勝太さんが査定を始めます。 聞けば30年ほど前にバッグを購入し、母と2人で使っていましたが、最近はクローゼットに入れたままになっていたそうです。
バッグの中をよく見てみると、経年劣化により、ベタつきや皮の生地がはがれている状態です。 なぜ、そこまで現金化したいのでしょうか。 聞いてみると「旅行の足しにしたい」とのこと。
大手旅行会社「JTB」が発表した今年の「夏休みの旅行動向」によりますと、1泊以上の旅行に出かける総旅行者数は推計で6975万人で、去年に比べ95.9%と、4.1ポイント減少したということです。 背景にあるのは、物価の高騰。特に国内旅行で減少傾向がみられ、旅行の日程を短くしたり、安く行ける旅行先に変更したりして限られた費用を有効に使うための工夫がみられます。 閑散期のはずの買い取り店に客足がのびているのは物価高騰の意外な影響と言えそうです。
さきほどの女性が査定に出した「シャネル」のバッグ3点。鑑定士がはじきだした金額は・・・30万1000円!高額査定が飛び出しました。 これはさぞかし女性も満足・・・かと思いきや「これ以上は厳しい?」と価格交渉に粘り腰。 その結果、4000円アップに成功。30万5000円で商談成立となりました。
女性は70代の母親と2人で親子水入らず、台湾への旅行を10月に予定しているそうです。
夏のピーク時を外して「滞在中のグレードをアップできるわ!」と笑顔で店をあとにしました。
鑑定士の上田さんによると、ことしは「物価高騰」や「旅行費用」といったキーワードがいつもの2倍ほど耳にするといいます。 アクセサリーの宝石を外した18金の金属から高級時計まで。 費用を捻出するため、バブルの頃に購入し、今は使っていない「タンスのにおいがするような商品」をかき集めて現金化する傾向が強いといいます。 物価高騰の夏、旅行費用を工面しようと買取店を訪れる人がまだまだ増えそうです。