【空から撮った鉄道】ついでに空撮したマルーン色を纏った“ちょっと違う私鉄電車”たち
他社とは違う空気が流れているような……
北東側から撮影した阪急京都本線大山崎駅付近。画面中央に見えるのがJR京都線の山崎駅でその左手が大山崎駅。ちょうど河原町(現・京都河原町)方面の列車が進入する(2012年5月12日、吉永陽一撮影)。
私の勝手なイメージですが、「阪急電車」と聞くと、閑静な住宅街を結び、宝塚歌劇があって、電車は創業時からのマルーン色を纏い、どこか奥ゆかしい雰囲気が漂ってくる。そんな感じがします。そういえば若い頃に大阪南部へ住んでいたとき、「阪急電車」は滅多に使いませんでしたが、たまに乗る時は、なぜか背筋を伸ばすような気分で乗車しました。 先入観からなのか、電車の色や設備、沿線の雰囲気などから感じたのか。他社とは違う空気が流れているような……、気のせいかもしれません(笑)。この前、友人が上梓した『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』(伊原 薫著、交通新聞社新書)を読み、ちょっと違うと感じていることがなんとなく分かりました。 さて、私の中では“ちょっと違う私鉄”というイメージの阪急は、なんと言ってもあの落ち着いたマルーン色が特徴です。焦茶色でもなく栗色でもなく、赤みと深みのある色。車両は伝統としてこの色を纏い、正面には車番が大きく明記されています。その姿は幼少期に見た鉄道絵本でも目に留まりました。決して派手さのないシンプルな電車ながらも、車体がワックスがけしたように輝いている姿に惹かれたのだと思います。 車体が輝き、独特な風味の車体色というのは、撮影するときに悩みます。目で見た時の色合いと異なることもあります。それは上空からでも同じで、マルーン色が地面や周囲の情景に溶け込み、車両が目立たないこともしばしば。 派手さのない深みのある色調で目立たないというのは、阪急らしいとも言えましょうが、空撮する身にとっては少々難儀しました。なので、晴れ間で空撮するよりも曇天のほうが、車体のディティールがなんとか現れ、色合いも深みのある雰囲気がでてきました。 阪急は、関西の空撮のついでに撮ったので、全線は網羅していません。梅田、十三、正雀工場、大山崎、神戸三宮、淡路で撮影しています。(写真21枚)
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吉永陽一(写真作家)