県境またぐ移動を解禁 安倍首相が会見(全文1)法相任命者として責任を痛感
リスクをコントロールつつ経済を回していく
経済活動の回復に向けて取り組んでいる世界の中で、今、わが国のクラスター対策に注目が集まっています。密閉・密集・密接、3つの密を避けることによって、日々の仕事や暮らしを続けながら感染を予防できる。これもクラスター対策を進める中で得られた知見であり、3つのCとして今、世界中で認識されるに至っています。そしてあすからは接触確認アプリを導入し、このクラスター対策をもう一段強化していきます。陽性者と濃厚接触した可能性がある場合、このアプリを用いることによって皆さんのスマートフォンに自動的に通知が送られます。そして速やかな検査につながるシステムとなっています。個人情報はまったく取得しない安心して使えるアプリですので、どうか多くの皆さんにこのアプリをダウンロードしていただきたいと思います。 先の会見でも申し上げたとおり、オックスフォード大学の研究によれば、人口の6割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができればロックダウンを避けることが可能となります。繰り返し申し上げてきましたが、私たちはしっかりと発想を変えなければなりません。社会経済活動を犠牲とするこれまでのやり方は長続きしません。できる限り制限的でない手法で、感染リスクをコントロールしながらしっかりと経済を回していく。私たちの仕事や暮らしを守ることにもっと軸足を置いた取り組みが必要です。だからこそ、わが国が誇るクラスター対策にこれからも磨きをかけていく。さまざまな専門家の皆さんの協力を得て最新の知見、最新の技術を常に取り入れながら、絶えず進化させていく考えです。
Jリーグもリモートマッチに向けた準備が進んでいる
そしてその大前提となるのは、十二分な検査能力です。すでに唾液によるPCR検査も始まっています。抗原検査のさらなる活用も進め、国内の検査体制をいっそう強化していきます。そうした取り組みの上に、あす、社会経済活動のレベルをもう一段引き上げます。あすからは都道府県をまたぐ移動も全て自由となります。各地への観光旅行にも、人との間隔を取ることに留意しながら出掛けていただきたいと考えています。プロ野球もあす開幕します。Jリーグもリモートマッチに向けた準備が進んでいます。コンサートなどのイベントも1000人規模で開催していただくことが可能となります。ガイドラインを参考に、感染予防策を講じながら社会経済活動を本格化していただきたいと考えています。 まさに新たな日常をつくり上げていく。海外との人の流れも、もちろん細心の注意を払いながらではありますが、少しずつ取り戻していく必要があります。グローバル化がこれほどまでに進化した世界にあって、現在の鎖国状態を続けることは経済社会に甚大な影響をもたらします。とりわけ島国の貿易立国・日本にとっては致命的であります。感染状況が落ち着いている国を対象として、ビジネス上の必要な往来から段階的に再開していく。そのための協議を開始する方針を、先ほど対策本部で決定いたしました。その前提は、出国前に検査による陰性確認を求めることであり、加えて入国時にもPCR検査を実施する。十分な検査によって安心を確保した上で行動制限を緩和し、ビジネス活動を認める考え方です。各国においても人の往来の回復に向けた動きが出てくる中で、日本として積極的に各国と議論をリードしていく考えです。そのためにもとにかく検査能力の拡充が必要です。経済界とも協力しながら、海外渡航者のための新たなPCRセンターの設置なども検討していきます。 今回の感染症によって失われた日常を段階的に、そして確実に取り戻していく考えであります。しかしそれは単なる復旧で終わってはならない。私たちは今回の感染症を乗り越えたあとの新しい日本の姿、新しい、まさにポストコロナの未来についてもしっかりと描いていかなければなりません。この感染症の克服に向け、現在、治療薬やワクチンの開発を加速していますが、別の未知のウイルスがあす発生するかもしれない。次なるパンデミックの脅威は、空想ではなく現実の課題です。私たちはすぐにでも感染症に強い国造りに着手しなければなりません。