不合格の子どもを「かわいそうだ」と思ってはいけない意外な理由。子育ては「心配」を「信頼」に変える旅である
年が明け、いよいよ受験の本格シーズンが始まります。子ども本人はもちろんのこと、見守る親のメンタルも佳境の時期。ここでは、受験を控えた子どもとの接し方で気をつけるべきことをご紹介します。『「発達障害」と間違われる子どもたち』などのベストセラーで知られ、不登校の子どもたちとも数多く接してきた小児科医・「子育て科学アクシス」代表の成田奈緒子先生に伺いました。
子どもに「かわいそう」と言ってはいけない!?
大前提として、どんなことがあっても、自分の子どもを「かわいそう」などと思ったり、まして本人に向かって口にしたりしてはいけません。 「お友達の輪に入れないなんて」「運動会のかけっこでビリになるなんて」など、やたらと「かわいそう」と言って、あれこれ先回りして子どもを守ろうとする親御さんもいますが、じつは子どもの脳育ての観点からはマイナスになります。 親から「かわいそう、かわいそう」と見られて育った子どもは「自分はかわいそうな子なんだ」と自己認識し、不安を強めてしまいます。自信をなくし、自己肯定感も下がるため、なかなか自立できなくなってしまうのです。 中学受験は子どもが強く希望する場合にのみすればよいものですが、本人が「受験したい」と言ってきたにもかかわらず、「落ちたらかわいそうだから」などという理由で却下することはやめましょう。 親のポジティブ思考で子どもの脳をよく育てることを目標にするなら、ぜひその代わりに「そもそも、中学受験ができる環境にあるなんて、あなたは恵まれているね!」と笑顔で伝えましょう。 そして、必ず受験の前に「受験は合格と不合格があるので、確率としては不合格になる可能性もある」と伝えておきます。 さらに「中学は義務教育だから、不合格であっても必ず進学先は確保されているところがラッキーだね。これが高校だったら浪人だよ」と、努めて明るく構えていることが大切です。 これまで受験をきっかけに、行きづまってしまったご家庭をたくさん見てきましたが、第一志望に不合格だったことなどを、親御さんがネガティブに捉えているケースが多くありました。