不合格の子どもを「かわいそうだ」と思ってはいけない意外な理由。子育ては「心配」を「信頼」に変える旅である
大切なのは、子どもの選択を尊重して信頼すること
私の娘も、一度目の大学受験では志望校に合格せず、本人が1年間浪人することを決めました。その際に私は、わが子をかわいそうに思ったりせず、むしろ「これはチャンス」と次のように提案しました。 「私は毎日仕事に忙しく、一方あなたは、今までより時間ができて、とてもラッキーだと思います。また、もうある程度の料理ができるので、自分で食事を用意することもできるはず。いくら浪人とはいえ、1日ずっと勉強し続けることも不可能かと思うので、これからはぜひ、お金は出すので、スーパーに行って食材を買ってきて、できるだけごはん係をやってね。朝はお母さんの仕事の時間に合わせて、その時間までに朝食もつくってくれると助かる!」 娘は、「OK!」と私の提案を受け入れ、毎日、インターネットでレシピを調べながら、さまざまな料理をつくり、1年で料理上手になりました。私が助かったのはもちろんですが、娘のその後のひとり暮らしへの自信にもつながりました。 当然、親として内心の葛藤もありました。「毎日家事をこなすことで、この子が来年も試験に合格できなかったら、どうしよう」と不安がよぎったのも事実です。 しかし、私がこの心配をストレートに表に出し、子どもに対して「家事なんてしていて、来年も合格できなかったら大変だから、あなたは勉強に専念しなさい」などと言ってしまったならば、どうなるでしょうか。 繰り返しになりますが、子育てとは「心配」を「信頼」に変える旅です。親から「心配な子」「かわいそうな子」だと決めつけられた子どもは、自己効力感を持てず、がんばることができません。本人が選び、決めた道に対しては、結果がどう転ぼうと、親は子どもを信頼することが、なによりも大切です。 ※この記事は、『誤解だらけの子育て』(扶桑社新書)より、一部抜粋、再構成のうえ作成しております。
ESSEonline編集部