家族4人で電気代は月4千円。「世界一脱炭素に熱い」アナリストのエネルギー自給自足生活#豊かな未来を創る人
── エネルギー自立は経済や外交とダイレクトに結びついていると。 はい、まさに。そしてもう一つは、脱炭素をツールに地方を強くしたいという思いです。もともと外交官時代に各国を見て回ったときに、強い国というのは、地方が強いと実感する機会が何度もあったんです。特にアメリカに赴任した時に50州を車で巡ったのですが、どの地方都市もそれぞれ独自に発展を遂げていました。 つい先日も、中国の深圳(しんせん)に出張したのですが、やはりものすごく勢いがあって驚きました。40年以上前は単なる漁村だった地域が国の経済特区に指定されて成長を続け、今では世界の大手IT企業やスタートアップ企業が集まる、"中国のシリコンバレー"といわれるような都市になっているんです。一極集中ではなく、各地に発展した都市があってこそ、国家の足腰が支えられるのだと改めて感じさせられました。 それに対して日本は、各地で急速に過疎化が進み、地域経済の衰退化が続いています。国全体の成長を底上げしていくためにも、今必要なのは地方を強くすることであり、脱炭素はそのためのカギになると思います。 ── 脱炭素で地方を強くするというのは、具体的にどういうことですか? 脱炭素の主力となる再生可能エネルギーを、地方で積極的に展開していくということです。というのも、再生可能エネルギーは、都市部よりも地方の方が圧倒的に有利なんです。 東京のような都市部では、太陽光パネルを設置しても、ビルやマンションによって影ができるから非効率です。一方で地方は、日光を遮る高い建物が少なく空き地も多い。太陽光パネルを設置するのには適地なんです。 それから山の尾根や海沿いの地域は、強い風が吹くので風力発電にも向いています。地方では、都市部にはない地熱発電の可能性や、畜産業や農業を利用したバイオマス発電の可能性も考えられる。それらの新たなインフラを整えていくことが、地方が潤うきっかけにつながる。その土地ならではの強みを見極めて適切に活かせば、地方にはあらゆる可能性が眠っています。