家族4人で電気代は月4千円。「世界一脱炭素に熱い」アナリストのエネルギー自給自足生活#豊かな未来を創る人
── そこから2年後に、現在のコンサルティング企業に移られます。 発信をするうちに、「うちの会社でどうやって脱炭素を実現できるのか教えてほしい」といった問い合わせがたくさん届くようになったんです。当時社内にコンサル部門はなかったので、すでにチャネルのある場所で取り組んでみようと、今の環境に籍を移しました。 現在のコンサル業務や講演会での発信、アドバイザー業務などのさまざまな取り組みを通して、とにかく全国に実変化の種まきをして、あちこちで同時多発的に開花させていきたい。その思いは変わりません。実際に、僕が今アドバイザーをしている山形県の米沢市では、バイオガス発電のインフラ構築を着々と進めています。 現在、太陽光発電を中心に推進している米沢市は、米沢牛を代表とする畜産業が盛んなためバイオガス発電も行える環境があります。畜産業で出た糞尿と、学校の給食センターや地元スーパーなどで出た食品残渣を混ぜて発酵させて、そこから出たガスを使って電気を作る。さらに、その過程で出た堆肥液肥は農業に活用する。その流れにおけるさまざまなセクターの方々に声をかけて、地域の経済性が成り立つ新たなモデルを作っているところです。
さまざまな種類の金太郎飴を作っていく
── 脱炭素社会に向けた直近の日本の動きについては、どのようなことを感じますか。 昨年の秋くらいから、少しずつ社会の風向きが変わってきたような実感があります。というのも、企業がファッションではない形で、脱炭素に向き合わなくてはいけない時期にきているなと。例えば、大手メーカーが自分たちの企業の脱炭素に加えて、関連するサプライヤーにも脱炭素要求をするようになってきている。そうすると、脱炭素製品を作っている企業にとっては、ビジネスチャンスにもなるわけで。日本でも、少しずつ脱炭素のドミノ倒しが始まっているという実感があります。 ── そうした社会の変化の中で、前田さん自身が今後力を入れたいことは? 一つは、脱炭素を実現させるために、各セクターをつなげる役割を担うことです。やはり脱炭素というのは、いろいろな組み合わせで成り立っています。例えば発電と蓄電をセットに考えると、太陽光発電はEVと組み合わせた方が効果的に使えるんです。 ですが電力セクターは電気をどう売るか、車セクターは車をどう売るかということだけに目を向けてきた。そこに僕のような人間が入って、両者をつなぐ視座を手渡す。そうすることで、各セクターの連携を最適化して、利益を最大化することができると考えています。 そしてもう一つは、なるべく多くのパターンの脱炭素にまつわる成功事例を作っていくこと。それをパッケージ化すれば、さまざまな地域でそのまま応用できる。いわば、いろいろな種類の金太郎飴を作っていくことも自分の使命だと考えています。