菅政権の「正念場」 衆参補選・再選挙のポイントは?
菅義偉(よしひで)政権にとって初の国政選挙となる衆参補欠選挙と再選挙が4月25日に投開票されます。総選挙の「前哨戦」と位置づけられ、結果は解散総選挙の時期にも影響を与えるといわれます。この3つの選挙のポイントやそもそもの選挙制度について、政治学者で東京大学大学院教授の内山融氏に解説してもらいました。 【図表】解散は五輪後? 迷走するコロナ対策 日本政治はウイルスに打ち勝てるか
●3つの選挙が行われる背景は?
4月25日、衆院北海道2区と参院長野選挙区で補欠選挙(補選)が、参院広島選挙区では再選挙が行われる。 衆院北海道2区の補選は、同選挙区選出の自民党議員であった吉川貴盛・元農水相が昨年12月に体調不良で議員辞職したことに伴うものである。吉川元農水相には、大手鶏卵生産販売会社の元代表から賄賂を受け取ったとの疑惑が持ち上がっていた(今年1月に収賄罪で在宅起訴)。 参院長野選挙区では、立憲民主党の羽田雄一郎・元国土交通相が昨年12月に新型コロナウィルス感染により死去したため、補選が行われる。 参院広島選挙区では、大規模買収事件で公職選挙法違反の罪に問われていた元自民党の河井案里氏の有罪判決が2月に確定したため、同法の規定により当選無効となった。このため再選挙が行われる。
●「補選」と「再選挙」の違いは?
ここで補選と再選挙の仕組みについて見ておこう。 補選は、議員の死去や辞職により、その選挙区で欠員が生じた場合に行われる。ただし、欠員が生じてすぐに選挙が行われるわけではない。補選実施の日程は公職選挙法により定められている。9月16日から翌年3月15日までに欠員が生じた場合には、その直後の4月の第4日曜日に行われ、3月16日から9月15日までに欠員が生じた場合には、直後の10月の第4日曜日に行われる。衆院北海道2区も、参院長野選挙区も、欠員が生じたのが昨年12月だったため、4月の第4日曜日である25日に補選が実施されることになる。 再選挙は、当選が無効となった場合や当選人が定数に達しなかった場合に行われる。参院広島選挙区では、上記の通り河井案里氏が有罪判決の確定によって当選無効となったため、そもそも2019年の参院選で当選していなかったとの扱いになる。再選挙の時期については補選と同様の規定が適用される。案里氏の議員辞職は2月なので、やはり4月25日となる。 広島においては、案里氏の夫である河井克行・元法相も買収を認め、衆院議員を辞職している。しかし克行氏の選挙区である広島3区では補選は行われない。これには辞職の時期が関係している。