宣言はなぜ2週間? 五輪優先では? 防戦に追われた菅首相
●IOCは国民の命に責任持たない
開催基準について明確に答えなかった菅首相だったが、即座に質問を重ねたのはフリージャーナリストの江川紹子さんだった。江川さんは次の質問者に指名され、「IOCに権限があると言ったが、IOCは国民の命に責任を持っていない」と指摘。「五輪をやりたいのは分かるが、どのような状況になったら『中止もやむを得ない』とする判断基準はあるのか」「海外からの観光客を入れなくても競技団体や報道陣が多数日本に来る。それによって変異ウイルスが広がらないための対策はどのようなことを考えているか」と聞いた。 それに対しては、すでにIOCが開催を決定し、外国人観光客の受け入れを見送る判断をしたと繰り返し、「それぞれ選手団の中で何人とか、日本に入国する人数も精査しながら(検討を)行っている」「水際対策だが、ここも厳しく行っている。(入国後の)行動も抑制するように、選手村と競技会場の交通機関とか、いま一つずつ決めているところだ」としたが、判断基準については再び言及がなかった。江川さんは、さらに質問しようとしたが、司会の女性から「自席からの質問は避けてください」と制止された。
●「2週間」の宣言に科学的根拠は?
「今回の2週間という期間をどう解釈したらいいのか」 1時間弱の記者会見の最後に質問に立ったニッポン放送の記者は、過去の宣言に比べて短い17日間という期間設定に疑問を表した。 別の記者への質問で、菅首相は「昨年から今年の年末年始に感染者が拡大したことは事実。そうした反省に立って、今回思い切って(休業要請など)人流(の抑制)まで踏み込んだ。ご迷惑をおかけするが、できる限り(影響を)最小限にするためにはGWをいかに活用するかを考えた」と、強い対策であるがゆえに「短期間で集中して実施」すると強調していた。 昨年4月に出された1回目の宣言では、当初は5月6日までの1か月間で設定され、最終的に2週間の延長となった。今年1月の宣言も、当初は2月7日までの1か月間だったが全面解除されたのは3月21日と結局2か月半かかった。ニッポン放送の記者は、こうした過去2回の宣言の期間とその後延長されたいきさつを踏まえ、「(今回は)『必ず2週間で』なのか、『まずは2週間』なのか。『必ず』なら科学的根拠はあるのか。そうでないとバッハ会長の来日に合わせたという勘ぐりも聞こえてくる」と真意をただした。 菅首相は、記者の質問が終わり切らないうちから「今回宣言をした場所は、まん延防止等重点措置を取っている場所で、今まで重点措置が続いている」と切り出し、「今から始まる2週間ではなく、今日までまん延防止等重点措置が続いている場所なので、そういう対応をした」と理解を求めた。