菅首相、施政方針演説の最後に口にした「2つの政治信条」
菅義偉(よしひで)首相が昨年9月の就任後、初めて迎える通常国会が18日、開会した。施政方針演説では「改革」という言葉を繰り返し、「新しい成長の原動力をつくり出す」と強調。地方活性化へ再び観光大国を目指すとの意欲も口にした。 【動画】菅首相が施政方針演説「コロナを一日も早く収束させる」衆院本会議
●コロナ克服の後「再び観光大国目指す」
施政方針演説の終盤、菅首相が「未来への希望を切り開くため、長年の課題についてこの4か月間で答えを出してきた」と政権発足後を振り返ると、議場からは「出てないよ」などと野次が飛んだ。 目下「緊急事態宣言」を発出している新型コロナウイルス対策や、首相が打ち出す「2050年の温室効果ガス排出ゼロ」「デジタル庁創設をはじめとする国全体のデジタル化」について意欲を示した。 「次の成長の原動力を作り出す。それが『グリーン』と『デジタル』だ」 「一日も早く感染を収束させ、皆さんが安心して暮らせる日常、にぎわいのある街角を取り戻す」 しかし主要な内容は昨秋の所信表明演説や年頭記者会見などでこれまでに語られたものが目立った。携帯電話料金の値下げや不妊治療支援など、政権発足当初からの取り組みの実績も繰り返した。 約45分に及んだ施政方針演説では、東京一極集中も長年の課題だとして、観光をはじめとする地方活性化にも触れた。 「地方で家族を育み、老いても安心して暮らせるよう地方の方々の所得を引き上げる施策を追求していく」 「我が国は、内外の観光客を惹きつける自然、気候、文化、食がそろっており、コロナを克服した上で世界の観光大国を再び目指す」 コロナ禍で一時停止中の「Go Toトラベル」には言及しなかったが、特に観光に絡んでは「ホテル、旅館、街の再生を進める。全国100程度の地域で街なかの廃屋を撤去し、魅力ある施設へとリニューアルする」「国立公園などにおける自然の中での宿泊体験や城や寺社、古民家での滞在など地域に眠る観光資源を磨き上げ、滞在型観光やワーケーションを推進する」など具体的なプランも提示した。 「改革」「前例踏襲の打破」などの言葉を強調し、「皆さんに我が国の将来の絵面を具体的に示しながら、スピード感を持って実現していく。一人ひとりが力を最大限発揮し、互いに支え助け合える、安心と希望に満ちた社会を実現する」と述べた。 その一方で「こうした社会を実現するには国民の信託を受け、国政を預かる立場にある政治家にとって何よりも国民の皆さんの信頼が不可欠だ」と切り出し、安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭に関する自身の国会答弁について、あらためて陳謝した。 「私の答弁の中に事実と異なるものがあったことに大変申し訳なく、あらためてお詫び申し上げる」