新年から、知って得する豆知識【おせち料理】食材に込められた意味、由来を解説!
弥生時代から続く「おせち」の風習
「おせち」を漢字にすると「御節」です。これは、「御節供(おせちく)」を省略した言葉で、節供はお正月に限らず5月5日の「端午の節句」などの節句の際に神様にお供えされていた料理でした。 【画像】黒豆、伊達巻、数の子…それぞれに込められた意味って?(画像15枚) おせちの起源はとても古く、弥生時代にまで遡ります。中国では季節の変わり目である節句に神様にお供え物をする習慣があり、それが稲作の伝来とともに日本に伝えられました。平安時代になると宮中行事となり、節句に儀式と宴会が行われ、「御節供」が振る舞われるようになりました。 江戸時代になると民間人にも御節供が周知されるようになり、五節句の中でもその年の最初に食べる御節供が定着するようになりました。江戸時代後期から明治時代になると、「めでたさを重ねる」という意味合いを込めて御節供をお重に入れるようになったようです。その頃は、「御節供」とも「おせち」とも呼ばれず、「食積(くいつみ)」や「蓬莱(ほうらい)」という名称が一般的でした。「おせち」の名前が定着したのは第二次世界大戦後。デパートがお重に入った華やかな商品を「おせち」として販売したことがきっかけです。
5種類の食べ物が入ってこそ「おせち」
おせちの定番料理はありますが、「これを入れなければいけない」「何品入っていなければいけない」というルールはありませんし、地方によって入れるものが異なります。ただ一貫して言えることは、おせちは神様にお供えする料理であり、おせちをいただくことで「無病息災でありますように」「1年を幸せに過ごせますように」といった願いが込められているところ。そのため、おせちに入っている料理には縁起を担いだ食品などが使われています。 明確なルールはありませんが、おせちは5種類の食べ物を入れるのが一般的です。それが、「祝い肴(いわいざかな)」、「口取り(くちどり)」、「焼き物」、「酢の物」、「煮物」の5種類です。 「祝い肴」とはお酒のつまみとして用意されるもの。「祝い肴三種」という言葉があり、この3種類され入っていればおせちとして合格とされています。関東の場合は、黒豆、数の子、田作り、関西では田作りの代わりにたたきごぼうになります。 「口取り」はお吸い物とともにいただく甘みのある料理のこと。代表的なものとして、伊達巻、昆布巻、栗きんとん、紅白かまぼこなどがあります。 「焼き物」はおせちのメインとなるもので、魚や肉を焼いたもの。一般的にお正月ごろに旬を迎えるブリ、縁起の良いタイやエビ、ハマグリが使われます。 「酢の物」は酢を使って和えたもの。おせちの定番として、なますや酢レンコンなどがあります。日持ちがするため、酢を使った料理を入れるようになったようです。 おせちの「煮物」と言えば「煮しめ」です。筑前煮とよく似ていますが、実は異なる料理です。煮しめは室町時代に精進料理として食べられていたもので、地域によって入れるものは異なりますが、ニンジンやレンコン、里芋などの野菜しか使いません。対して筑前煮には鶏肉が入ります。現代では筑前煮を入れることもありますが、本来おせちに入るべきは煮しめなのです。