なぜエンゼルスは大谷翔平との調停決着を回避して2年総額8億9000万まで譲歩したのか?
オレンジカウンティレジスター紙によると「ミナシアンGMは大谷が現在は健康で、選手もチームも彼が打者、投手として調子を取り戻すことに楽観的でいる。ミナシアンGMは、彼の(二刀流の)それぞれの役割でのプレー度合いをどのように分けるかはまだ定かでないと語った」という。まだ正確なプランまでは立てることはできなかったが、“二刀流復活”の可能性が高いと判断したのである。 すでに痛めた右肘は順調に回復しており、ミナシアンGMは、「状態は(2018年の)手術前に戻っている。チームの勝利に貢献してくれる」とも語っていた。メディカルチェックと、専門家が復活の可能性を十分に検討した上での結論と見られる。 同紙は「エンゼルスの先発ローテーションは、エースレベルの投手を必要としており、そこに大谷が加わるように、彼の投手としての上積みを期待している。大谷が規則的に投げられていたルーキーイヤーは、10度の先発で51回2/3を投げて4勝2敗、防御率3.31、三振63を奪っていた」と「投手・大谷」を必要としているチーム事情があることも明らかにした。実際、今オフには、先発陣の強化のため、楽天に戻った田中将大の獲得交渉に乗り出してもいた。 メジャー公式サイトもエンゼルスの譲歩を支持。 「大谷は今シーズンに二刀流選手としてのラストチャンスを得たと考えている。大谷はこのオフを普通に過ごしており、チームも2021年に健康な状態で復活すると楽観視している」と伝えている。 過去にエンゼルスは調停権を得た選手と、互いの年俸希望額を交換した後に公聴会が行われるまでの間に選手側との交渉をせず調停に委ねるのが球団の経営方針だった。だが、2011年以来、方針を転換。8年連続で調停を回避していた。昨年オフにはブライアン・グッドウィン外野手が9年ぶりに調停へもつれこんだが球団側の主張は退けられた。客観的な年俸評価と、チームが保有する選手の価値を否定するという調停公聴会での矛盾を避けたいとの理由で、大谷の調停も回避されたものと考えられる。 メジャー公式サイトも「ミナシアンGMはチーム方針として、調停を避けるために複数年契約を大谷と結ぶしかないとの意向を見せていた」と明らかにしている。 “二刀流”をどう評価するかの”答え”は、まだないが、大谷が故障なく投打に本来持っているポテンシャルを発揮できれば、エンゼルスが結んだ2年約8億9000万円は譲歩どころか「安い買い物」だろう。