【独占】なぜ巨人OBの川相昌弘氏は”ライバル”阪神の臨時コーチを引き受けたのか…「阪神がするべき野球とは」
巨人、中日のOBで今春の阪神の沖縄キャンプで臨時コーチを務めている川相昌弘氏(56)が5日、独占インタビューに応じ、ライバル球団への協力を快諾した理由や阪神のエラー撲滅、バント強化に向けて「何を教えているか」について語った。ゴールデングラブ賞6度の名手にして世界記録533犠打のバント職人。指導者としても経験豊富な川相氏は、果たして阪神を変えることができるのか。
意外だった阪神からのオファー
沖縄・宜野座のグラウンドには、相当な量の”ウロコ”が目から落ちているようだ。巨人ー阪神という永遠のライバル球団の枠を超え、守備力向上と勝負所のバント成功率アップを求められて、今春キャンプで臨時コーチを務める川相氏は、たった4日間で、虎のメンバーにある種の”カルチャーショック”を与えた。第1クールの初日から、その指導法やアドバイスに投手、野手問わず「目からウロコ」発言が相次いでいる。 「技術面、気持ちの面でもしっかり準備はしてきました。それでも選手もスタッフも初めて会う人ばっかりだったので、正直言って不安はありましたが、すんなりと入れました。例年だと満員のお客さんの中で練習するんでしょうが、今は球団の関係者とマスコミの人だけ。お客さんがいないのは寂しいけれど、逆に野球に集中できている。僕自身も落ち着いて指導にあたれています」 川相氏にとっても充実のワンクールだったようだ。 24年の現役キャリアを誇る川相氏は、巨人時代は藤田元司氏、長嶋茂雄氏、王貞治氏、原辰徳氏といった名将の下で活躍。不動のショートストップとしてゴールデングラブ賞を6度受賞し長嶋監督からは「守備だけで1億円の価値がある」といわれた。 「勝利にもっとも貪欲だったのは王さん。怖いってもんじゃなかった」 40歳を過ぎた晩年には、落合博満監督が率いる中日にテスト生として入団。脂が乗り始めたころの荒木雅博、井端弘和氏の”アライバコンビ”に多大な影響を与え、年下の立浪和義氏の守備固めとして試合を締めた。さらにコミュニケーション力と下積みの経験も買われ、若手育成のための「メンタルアドバイザー」の肩書も持っていた。 その後は、中日の1軍内野守備走塁コーチから2軍監督を務め、古巣巨人に復帰してからも、1軍監督代行、ヘッド、2軍監督、3軍監督と、あらゆるカテゴリーを経験した。 今回、阪神から臨時コーチを要請されたのは、その野球人としての豊富な経験と知識に加え人間力、総合力を買われてのものだが、ライバル球団のOBに協力を依頼するのは異例のことだ。”窓口”になったのは、川相氏の岡山南高時代の後輩で、現在、阪神で査定を担当している横谷総一だったそうだが、さすがに想像もできなかったオファーに驚いたという。 「阪神さんから声をかけてもらうのは意外でした。しかし、当然、僕が読売グループに所属していることを知った上でお願いされたわけですからね」 川相氏は、切羽詰まった阪神の本気度に心を打たれた。