黄金ルーキーを手玉にとった阪神・藤浪晋太郎のワインドアップ&目線切り2021年型新フォームが凄いワケ
阪神の藤浪晋太郎(26)が7日、沖縄・宜野座キャンプで行われた紅白戦で初めての実戦マウンドに上がり、2イニングを投げて打者6人に対して3奪三振、1安打、無失点の内容にまとめた。ワインドアップと投球の途中で一度、打者から目線を切る2021年型の新フォームが機能して最速156キロをマークし制球も安定。昨年中継ぎ起用をきっかけに復調の兆しを見せていた藤浪がさらなる進化を遂げていた。6年ぶりの2桁勝利復活の可能性も見えてきた。
全球直球勝負でドラ1佐藤を空振り三振に
ハイライトは4球団競合の“黄金ルーキー”佐藤輝明(近大)との対決だった。3回から白組の2番手としてマウンドに上がった藤浪は予定されていた2イニング目の4回の先頭打者として「1番・ライト」で起用されていた佐藤と対峙した。 先にプレートを踏み、正対したまま佐藤が打席で構えるまでの準備を余裕で待つ。大きく振りかぶったワインドアップモーションから左足を上げると、目線を三塁ベース付近に向かって切り、一瞬、静止の時間を作る。そこからステップに入って腕を振る。うなりをあげるかのような154キロのストレートをインサイド低めに投じると、佐藤のフルスイングしたバットはボールの下で空を切った。 続く153キロのストレートは外角高めに外れたが、3球目はインハイに154キロのストレートをズバッ。佐藤は腰を引き手が出ない。カウント1-2からの勝負球も155キロのストレート。梅野隆太郎がアウトコースに構えたミットに吸い込まれるボールに佐藤は、完全に振り遅れた。圧巻の全球ストレート勝負で、プロの洗礼を“黄金ルーキー”に浴びせても藤浪は表情ひとつ変えることはなかった。 在阪のスポーツメディアの報道によると、堂々のフルスイングで勝負した佐藤は、「あまり、ああいう球は見たことがない」と語ったという。 この日の藤浪は、目を背けたくなるような極端な抜け球、引っかけ球は、1球もなかった。突然、変調をきたす“ジキルとハイド投球”が藤浪の悪い癖だが、その“ハイド”の藤浪は姿を現さなかった。