JR中央・総武線「三鷹駅」には何がある? 実は太宰治ファンの聖地、常に文化が“新陳代謝”し続ける街
◆太宰治など、文豪・文化人が愛した街
三鷹コラル5階の太宰治展示室に代表されるように、三鷹駅は「文学・文化の街」という側面も色濃く残しています。大正時代~昭和初期にかけて、多くの小説家や文化人が移り住んだのは、当時の三鷹地域が緑豊かで閑静だったことと、既に開通していた中央本線により都心アクセスがよかったことに由来するそうです。三鷹駅南口から徒歩3分の場所にあるのが「太宰治文学サロン」。2008年にオープンした当サロンは、太宰治に関する資料展示を行う無料のミニギャラリーです。 サロンがあるのは、太宰治の一家がよく利用していた「伊勢元酒店」の跡地。このような太宰治ゆかりの跡地・足跡スポットが、三鷹駅の南側に21カ所もあるそうです。 太宰治を語るとき、彼が三鷹近くの「玉川上水」にて愛人と入水を遂げた悲劇的末路も避けては通れません。三鷹駅南口のペデストリアンデッキを東側・玉川上水の方向に降り、緑道沿いに南東へ歩いて行きます。途中、太宰治が入水した場所を示すプレートがありました。かつては自分の著作でも書き記した玉川上水の風景を眺めながら、人生の最期を前に太宰治は何を思っていたのでしょうか。 一方、その近くには「路傍の石」「真実一路」などで知られる作家・山本有三が暮らしていた洋風邸宅を改修した「三鷹市山本有三記念館」も。太宰治の雰囲気を繊細で鋭利な「陰」とするならば、こちらの洋館からは温和で力強い「陽」の気配が漂ってきます。 中央通りには、三木露風や武者小路実篤など三鷹地域に住んでいた文豪や作家にゆかりあるモニュメントがあちこちに点在。「肉のアンデス」近くには山本有三の言葉を添えた、少年2人の像もありました。三鷹駅はあちこちに文学・文化の香りが漂う街です。
◆北口近くには、あの有名アニメスタジオが!
ここからは駅北側(武蔵野市側)へ。商店街などの規模は南側よりもコンパクトながら、清潔で住みやすい街並みが広がっています。三鷹駅の北口は南口とは違い、階段で地上に降りる形となっています。「三鷹駅」のフォントがどことなく古風。駅前ロータリーに面した複合ビル2階に入っている喫茶店「cafe terrasse verte(カフェ・テラス・ヴェルト)」は、広々とした店内。屋外テラス席もあり、穏やかな晴れの日に利用したくなります。 駅北口の近くにあるのが、タワーマンション「武蔵野タワーズ」。低層部分にスーパーマーケット「オーケー三鷹北口店」や「CAFÉ de CRIÉ(カフェ・ド・クリエ)」などが入っているほか、タワー裏手の遊歩道部分ではマルシェ(地域の物産展)などイベントが行われています。 また、武蔵野タワーズの近くには、『攻殻機動隊』『PSYCHO-PASS(サイコパス)』、最近では『怪獣8号』『キン肉マン』など数々の傑作アニメ作品を手掛けているアニメスタジオ「Production I.G(プロダクション・アイジー)」が。他にも「タツノコプロ」や「WIT STUDIO(ウィットスタジオ)」など、三鷹駅近辺は老舗や近年有力株のアニメスタジオが多いのも特徴です。