川崎Fが代表組主力を5人欠いても無敗継続…最強チームが負ける“Xデー”は来るのか?
同じようなスタイルで川崎と対峙できるチームとして、現時点におけるスケジュールでは8月28日に札幌との再戦、9月11日にヴィッセル神戸、同25日に湘南ベルマーレ、10月16日に鹿島アントラーズ、11月3日に浦和レッズ、同6日にサガン鳥栖、そして最終節となる12月4日には横浜F・マリノスらが待っている。 すでに終えている最初の対戦で神戸と湘南に引き分け、鹿島に2-1、鳥栖には1-0とともに1点差の大苦戦を強いられた。さらにつけ加えれば、神戸には3月の時点では負傷離脱中だった司令塔アンドレス・イニエスタが復帰している。 記録が途切れるかもしれない“Xデー”がいろいろと考えられるなかで、標的にされる川崎もまた進化を遂げていく。先発がわずか8試合、730分間のプレー時間でリーグ4位タイ、チームでは2位の9ゴールを決めるなど、驚異的な決定力の高さでけん引している小林が「いまのフロンターレは強い」と無敗を継続する秘密を語ったことがある。 「自分のチームに対して言うのも変ですけど、ただ単に試合に勝ってるから強いのではなくチームとしての力がついてきたと、長くここにいるからこそ感じている。選手一人ひとりの意識と志す場所が高く、勝った試合でも反省の言葉が出る。満足している選手がいないし、若手を含めて、勝ちながら修正していく意識がチームの全員にある」 8月9日の大分戦を皮切りに20日間で5試合に臨む8月戦線も、高温多湿の過酷な気象条件を考えれば消耗戦になる。ACLの決勝トーナメントへ進み、コロナ禍のもとで昨シーズンに続いて中立地での集中開催になれば国内スケジュールが大幅に変更され、シーズン終盤で予期せぬ過密スケジュールを余儀なくされる可能性もある。 それでも、ピッチの内外で待ち受ける敵を歓迎するかのように、鬼木監督は横浜FC戦後にこんな言葉を残した。 「明確な数字としては言えませんけど、さらにパワーをつけながら勝ち続けていきたい、というのが正直な気持ちとしてやはりあります」 勝負事に絶対の二文字は存在しない。それでも、鬼木監督や小林の言葉に象徴されるように特にメンタル面で隙を見せず、より貪欲な姿勢を貫いていく限り、追いすがるチームから向けられる対抗心を糧にしながら川崎は無敗記録を継続させていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)