川崎Fが代表組主力を5人欠いても無敗継続…最強チームが負ける“Xデー”は来るのか?
2位の名古屋グランパスに勝ち点で「18」差をつけて首位を独走し、しかも直接対決をすでに2戦2勝で終えている。昨シーズンの川崎を越える――を合言葉にすえる王者がこのまま史上初の無敗でシーズンを駆け抜け、2年連続4度目の美酒に酔うのか。無敗優勝を目標のひとつに定めているかどうかを、試合後の指揮官に直撃した。 「できればそういうことも言いたいですけど、現実的にはひとつずつしか結果を残せていけない。ただ、シーズンの半分あまりが終わったなかで、自分たちが圧倒した試合がどれだけあったかと言われると、実際にはなかなかなかった。どちらに転んでもおかしくないような展開を越えてきているところが、自分たちの成長だと思っています」 昨シーズンの川崎は、最終的に3つの黒星を喫している。 名古屋は引いてスペースを消し去り、耐えながら数少ないチャンスを生かして1-0で勝利した。北海道コンサドーレ札幌はマンツーマンの守備を採用し、川崎のパスワークを分断して2-0で快勝した。大分トリニータは川崎のお株を奪うボール支配率の高さで流れを手繰り寄せ、谷口の一発退場で獲得したPKによるゴールを守り切った。 しかし、3チームとも今シーズンは返り討ちにあっている。追われる者の宿命と言うべき、さまざまな対策を講じられてきた戦いの軌跡に鬼木監督はむしろ感謝する。 「難しかったと評価される試合が多々ありますけど、逆にそれらが自分たちの力になっている。いろいろなチームがトレーニングでは想定できないような対策を講じてくる、という意味では首位にいる意義はすごく大きいと思っています。それらに打ち勝ってきたなかで、本番の試合でしか得られないパワーに変わってきたはずなので」 今後は9日のAC長野パルセイロとの天皇杯2回戦と、現地時間6月26日からの16日間で6試合を戦う、ウズベキスタンで集中開催されるACLへ臨むなかで、J1リーグ戦そのものの次節となる7月17日の清水エスパルス戦がひとつのヤマになる。 今シーズンの初顔合わせとなる清水と、ACLのグループリーグを終えて帰国したばかりの川崎がどのようなコンディションで相対するのか。東京五輪が実際に開催されれば、代表選出が濃厚な田中、旗手、そして三笘を欠いた陣容にもなるはずだ。 札幌に2-0で勝利し、大宮の連続無敗記録を塗り替えた5月16日の第14節後に、借りを返された形となった札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督はこう語っている。 「川崎に対して守備的に戦い、セットプレーやカウンターからチャンスを模索するチームが多いなかで、私たちは前線からのプレッシングで相手の自由を奪い、ボールを保持すれば相手を動かしながら押し込むことで五分に渡り合うことができた」 後半こそ三笘と小林の個の力でゴールを奪われたものの、スコアレスで終えた前半で白熱の攻防が繰り広げられた一戦が、おそらくは川崎対策のスタンダードになる。