いつも穏やかな人は、なぜ切れると怖いのか?東洋医学の観点から紐解く「体と心」のつながり
厚生労働省が公開している令和2年「患者調査」によると、気分(感情)障害(躁うつ病を含む)の総患者数推計値は約20万人とのこと。メンタルヘルスの問題を抱える人が増える中、「日常の小さな養生で<強い心>が手に入る」と語るのは、漢方養生指導士で、登録者数10万人超の漢方養生YouTuber・ロン毛メガネさん。今回は、ロン毛メガネさんの著書『読むだけでメンタルが強くなっちゃう漢方養生の本』から、東洋医学の基本知識や、すぐに実践できる<養生>の方法などを紹介します。 【書影】日々の小さな養生で「強い心」が手に入る『読むだけでメンタルが強くなっちゃう漢方養生の本』 * * * * * * * ◆「過剰な感情」は、健康を損ねる 東洋医学では「内傷七情」という言葉があります。 過剰に怒ると、肝を傷める。 過剰に喜ぶと、心を傷める。 過剰に思い悩むと、脾を傷める。 過剰に悲しむと、肺を傷める。 過剰に驚き、恐れると、腎を傷める。 逆に食事や生活習慣などによって、五臓が虚弱になったり、気血が暴れたりすると、外部からの刺激に対して過敏になりやすくなります。 だから、簡単に怒ったり、泣いたりするようになってしまいますよ。 そして、「臓生情、情調臓」という言葉があります。 五臓は感情を生み出し、感情は五臓を調和するという意味ですね。 実はお互いに影響し合っていると考えます。 簡単にいうと、体と心はつながっていて、五臓に不調が出ると感情に影響を与えるし、過剰な感情は五臓に影響を与えると考えると、わかりやすいかと思います。
◆意識の中枢は「心」 「喜」はどう生まれるか 東洋医学の「心(しん)」というのは、五臓の中の君主です。 火属性で、私たちの精神状態、思考、感情を司ります。 そして、心は血脈の流れにも関係し、血の流れをコントロールしています。 心血が充実していれば、五臓や体全体を潤すことができて、精神状態のバランスを正常に保つことができますね。 この「心」は、「喜び」という感情に深く関わっていて、これは七情の中で唯一、ポジティブな感情。火属性ですから、上に向いて燃え上がる、前向き、そして活発というイメージがあります。 「心」について、『黄帝内経』では「主明則下安、主不明則十二官危」と書いています。 先ほども話したように、「心」は君主です。国の君主が安定していれば、その下の大臣たちは安心して、安定しますよね。反対に君主に異常があると、その下の大臣、すなわち五臓六腑などの全体のバランスが崩れて、健康が危なくなるよ、という意味です。 なので、「心」は五臓、感情のバランスを保つ働き、調節する働きがありますね。 そして、感情は、五臓以外に気の流れにも関係していて、喜ぶと気の流れはゆるやかになり、滞りなくスムーズに流れると考えます。これについて、『黄帝内経』では「喜則氣和志達、營衞通利」と書かれています。 過剰に喜ぶと、気がゆるくなりすぎて散ってしまいますが、適度な喜びは気を調和して、流れが早すぎず遅すぎずにならないように、ちょうどよく調整してくれる効果がありますね。なので、笑うと体がスッキリして軽くなるんですよ。 道理で、「病気に一番いい薬は笑顔だ、笑うことだ」とよく言われるわけですね。
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