いつも穏やかな人は、なぜ切れると怖いのか?東洋医学の観点から紐解く「体と心」のつながり
◆「ニコニコできる」のは元気な証 もちろん、喜ぶことは五臓六腑にいい影響を与えます。逆に、五臓六腑が元気だから笑える、喜べるともいえます。 なので、いつもニコニコして楽しそうにしている人は、基本的に元気です。 反対に、臓腑に元気がない人は、お笑い番組を観ていても、友達と楽しい会話をしていても、あんまり笑わないですよね。 素直に楽しめるか、喜べるかどうかは、臓腑の健康を判断する材料にもなります。 *過剰に喜ぶことによる不調:動悸、不眠、集中力低下、発狂など
◆情緒安定のカギは「肝」 「怒」はどう生まれるか 東洋医学の「肝(かん)」というのは、五臓の中の将軍です。 木属性で、血を蓄える、血を分配する疎泄(そせつ)という働きがあって、体中に気血を巡らせてくれますよ。 前項で触れたように「心」が血の流れをコントロールするわけですが、その前に、「肝」から血をもらう必要があるわけです。 東洋医学では、「木生火」という考えがあって、肝血が充実していれば、心血を生むことができて、私たちの精神状態を保つことができる、と考えます。 「肝」は「怒り」という感情に深く関わっていますが、東洋医学の怒りは、ただ「怒る」ことだけを指しているのではありません。 イライラや恨み、不満……なども全部、怒りを引き起こす要因です。 例えば、子供は、おもちゃが欲しいのに親が買ってくれなかったとき、泣いたり、床にへばりついてすねたりしますよね。これも怒りの一種です。または、煽(あお)り運転。前の車の運転が気に食わないといって、わざと煽ったりする。これも怒りの一種です。 自分が不満を感じたり、やりたいことができなくて邪魔されたりすると、怒りが生まれるんですね。
◆普段穏やかな人が切れると、なぜ怖い? そして、肝は木属性で、「曲直(きょくちょく)」の性質があります。 どういうことかご説明します。 植物の種をまいて芽が出てくるとき、基本的に曲がっていますよね。少しずつ真っ直ぐになって、伸びていきます。 しかし、真っ直ぐになろうとするときに、邪魔があって、外に出られなくて、思うように伸びることができなかったとします。でも、外に伸びていこうとする勢いは止まらない。そうなると、外に出ようとする力が溜まってしまいますよね。 これが最終的に爆発して、「怒り」となって勢いよく放出されてしまうわけです。 なので、怒るときの人って、大体、色々溜めすぎたときが多いです。 それで、「肝」の気が長期的に滞ると、イライラしやすくなったり、怒りん坊になったりするんですね。 怒りは、気を上に上らせる働きがあります。実際、日本では「怒髪(どはつ)、天を衝(つ)く」という言葉がありますよね。とりあえず、上に外に行く勢いがすごいんです。
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