【闘病】どうして私が? めまいや味覚異常の原因は『治らない難病』だった…
今この時間を何より大切に
編集部: 病気の前後で変化したことを教えてください。 CF2010さん: 平凡こそがどれだけ幸せで、どれだけ難しいことか、ということを身をもって感じました。退院後も2度ほど再発を経験して、その度に生活や仕事の全てがリセットされてしまい、悔しい想いも沢山しました。 病気を恨んで、「どうして私が?」という気持ちを痛いほど知り、泣いてばかりでした。 編集部: どうやって気持ちを切り替えたのですか? CF2010さん: 切り替えることはできなかったような気がします。強いて言うなら、離婚も経験したこの2年ほどでかなり前向きになりました。離婚の原因は病気とは全く関係ないのですが、病気を持ったまま離婚して1人になって、私は人生を変えることができました。 もし病気がなければ平凡のありがたさも知らず、時間が無限にあると勘違いし、無駄な時間を過ごしていたと思います。いつかまた発症するかもしれないし、それは明日かもしれない、今度はどんな症状が出るのかもわからない。 ただひとつ確かなことは、今の自分は、自分のために頑張れるということです。今まで出来なかったことにチャレンジしようと思うようになりました。 編集部: 気持ちの変化があったのですね。 CF2010さん: 病気を受け入れたわけではありません。受け入れる、受け入れないではなく、これが運命ならその流れに逆らうことなく、一緒に流れていこうというだけのことです。いまは深くは考えていません。 私は、これまでの人生に何ひとつ後悔はありません。そして、いつか来るかもしれない「再発」の瞬間も、後悔しないように生きていこうと思っています。 編集部: 現在の体調や生活はどうですか? CF2010さん: 現在は半年に一度の定期検診を受けています。ここ数年はMRIの画像診断でも病巣は増えておらず、安定した状態で服薬せずに日常生活を送ることが出来ています。 以前は予防薬を服薬していましたが、私の体には合わないようで副作用が強く出てしまったため、数ヶ月で服薬を中止しました。その後は薬を飲まず、再発の兆候やMRI検査で病巣の増加、増悪が認められた場合は注射薬を開始するという方針へ変更しました。 編集部: お仕事も続けているのですか? CF2010さん: 2度目に再発した際、正社員からパートタイムへ勤務形態を変えましたが、離婚と同時に正社員に戻してもらいました。正社員であればほかの人と平等に業務を請け負えますし、発言権も得られます。 始めはかなり身体的にキツかったですが、無理をしてでも正社員に戻れてよかったです。時に非難されたり、嫌な想いをしたりすることも多いですが、自分で決めた人生を生きていくためには金銭的なものも、強い心も必要です。 病気が関係しない場所、仕事は私のプライドでもあります。 編集部: 医療機関や医療従事者に望むことはありますか? CF2010さん: 優しい声かけや、サポートに沢山助けられました。これ以上望んだら申し訳ないです。むしろ、これだけの重労働なのだから、リターンがもっとあるべきだと思います。日本の制度で手厚くしてあげて欲しいです。 編集部: 最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。 CF2010さん: 今のこの時間をなにより大切に、自分のために有意義に使って欲しいです。 弱気になったり、不安で自分に負けそうになったりすることもあるかもしれませんが、例えばこの「多発性硬化症」の再発に怯えていても、もしかしたら別の病気になるかもしれませんし、事故に遭うかもしれません。 先のことを考えてもどうしようもないのですから、考えなくていい、再発したらその時に考えればいい、と私は思います。