なぜ今年の夏は「地獄の暑さ」だったのか…これからも地獄が続くかもしれないと専門家が心配する理由
■観測の歴史が証明する異常気象の頻発化 今年9月、能登半島北部で発生した線状降水帯により、輪島市における過去95年間の1日の最大降水量の1.5倍以上が記録された。2020年の熊本県球磨川流域での大雨もそうだったが、100年に1回以下の頻度の大雨であり、住民にとってこれまで経験のない大雨であった。こうした「異常気象」は、気象庁によって次のように定義(※1)されている。 【図表】地球温暖化はもう否定できない ---------- 一般には、過去に経験した現象から大きく外れた現象のこと。(中略)気象庁では、気温や降水量などの異常を判断する場合、原則として「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」を異常気象としている ---------- ※1:大雨や暴風等の激しい数時間の気象から、数か月も続く干ばつや、極端な冷夏・暖冬も異常気象に含む。気象災害も異常気象に含む場合がある。(出所:気象庁ホームページ) 線状降水帯は文字通り「線状」の狭い範囲で発生する現象であり、今年9月の例でも能登半島北部のごく狭い地域で発生した。このような狭い範囲での顕著な大雨は、場所を変えながらも毎年のように発生している。その地域にとって30年に1回以下の頻度の大雨が、日本列島のどこかで毎年のように発生すること自体は、おかしなことではない。 異常気象かどうかを見極めるためには、その根拠となる長期間の観測統計の品質を維持することが重要だ。気象関係者は、これまでの観測の歴史の中で戦争や大震災をも乗り越え、観測を24時間365日維持し続けてきた。 ただし、多くの観測所が都市化によってヒートアイランド現象の影響を受けているのも事実である。そこで、地球温暖化による気温の変化を監視するために、銚子(千葉県)や伏木(富山県)、石垣島(沖縄県)など、長期間の観測が維持されていて都市化の影響が小さい15地点を選定して観測を行っている。 こうした長年の観測結果に基づき異常気象を見ていくと、近年、多くの人が気づき始めている通り、地球温暖化を背景に異常気象の発生頻度が上がりつつあるのも事実である。