なぜ森保Jはメキシコに0-2で敗れたのか…「メキシコは日本がお手本にすべきチーム」
橋本と同時に南野拓実(リヴァプール)を投入し、鈴木武蔵(ベールスホット)に代わる1トップにすえても、流れを引き戻すどころか立て続けに2点を失った。その後も久保、FW浅野拓磨(パルチザン)、MF三好康児(アントワープ)を投入するも最後までゴールネットを揺らせなかった。何よりも後半に放ったシュートは、後半40分のDF酒井宏樹(マルセイユ)の一本だけに終わった。 特にメキシコは2点のリードを奪ってからは、全体的に引いてカウンターを仕掛ける戦い方に切り替えていた。群を抜く縦へのスピードを武器にする浅野を投入するのならば、メキシコが先制する前の重心が前へかかっていた時間帯の方が、スペースが空き気味だった意味でも効果的だった。 吉田はピッチ上でプレーする選手個々の状況判断力と修正力を求めたが、ベンチワークでも流れは変えられることはロシア大会のベルギーが、そして目の前のメキシコが証明している。途中から起用された選手が上手く機能したかどうかは、残念ながら監督の采配力の差と言っていい。マルティーノ監督はパラグアイ代表とアルゼンチン代表、そしてバルセロナで指揮を執った経験をもつ。 試合はメキシコが前半開始直後から、強烈なハイプレスを仕掛けてきた。しかし、メキシコの戦法を把握していた日本が慣れてきたことと、14日の韓国代表戦から中2日の日程が影響したメキシコの動きが重くなってきたこともあって、10分もすると日本が攻勢に転じる。 迎えた15分に最大のチャンスが訪れる。左サイドから原口が送ったパスに抜け出した鈴木がメキシコの守護神、ギジェルモ・オチョアと1対1になりながらシュートを防がれてしまう。右へダイブしながら必死に残した足に阻止されたシーンを、鈴木は「フォワードとして責任を感じています」と振り返りながら、初めて訪れたチャンスを確実に決めたヒメネスとの差を敗因にあげた。 「(相手が)倒れるのが見えたのでファーへ流し込んだんですけど。結果論ですけど、もうちょっと浮かせて打つのがベストだったかな、と。ああいう勝負強いところが出てこないと、僕もなかなか上のステージでは戦っていけないと感じています」 今夏に北海道コンサドーレ札幌からベルギーへ挑戦し、リーグ戦で5ゴールをあげている鈴木は現時点での実力不足を感じながらも捲土重来を期した。 吉田も「後半が本当のメキシコのレベル」と完敗を認めた上で、選手それぞれが所属クラブで個のレベルを上げていくしかないと力を込めた。 「ワールドカップでも苦しい時間帯が長くなるので、そこで踏ん張ってショートカウンターを仕掛けるとか、相手をいなしながらプレッシャーをかいくぐるプレーは、まさに後半のメキシコが僕たちに対してやったこと。正直、差はありますけど、メキシコは僕たちがお手本にするチームだと思う」