【ABC特集】家賃上昇 保証人もいない・・・ 住む家が借りられない高齢者を支援する「居住支援法人」とは? 深刻化する“貸し渋り”の実態<後編>
高齢を理由に、賃貸物件の入居を断られるケースが相次いでいます。奈良県天理市に住む川本百合子さん(77)は、建物の老朽化を理由に突然、大家から約15年住んだ家からの立ち退きを求められました。 川本さんが頼ったのは、住宅確保に配慮が必要な人に対して情報提供などを行う「居住支援法人」でした。 【前編】「行くとこなかったら死ななあかん」「けんもほろろに断られる」住む家が借りられない高齢者 深刻化する“貸し渋り”の実態
条件に合う住宅がなかなか見つからず…支援の難しさ
奈良県天理市にある居住支援法人「やすらぎ会」で働く北中桃代さん。転居を希望する高齢者の相談に乗っていて、貸し渋りに悩む川本さんの依頼も受けています。 取材した日、北中さんは同時に高齢者4人を含む6人の相談に応じていました。北中さんは高齢者の住宅探しの難しさは、希望条件の多さにあると言います。
「1階であったりエレベーターが必要になったり。年金や生活保護で生活する人には家賃がすごく重要な条件になってきます」 近年の物価上昇で家賃も上がり、納得してもらえる部屋はますます少なくなっています。 他にも病院やスーパーが近いことや、親族と疎遠で保証人になれる人がいないなど、条件は多岐にわたります。 相談者の希望に応えるため、北中さんは不動産会社を何社も“はしご”しています。 「直接行くことで、顔を見て話させてもらったほうがいろんな情報をいただけますし、前に入居していた方の情報を共有できたりもします」 実際に顔を突き合わせて話をすることで信頼を築くことができ、デリケートな内容も聞きやすくなるといいます。この日は3社を回りました。 ただ、実際には相談者のすべての希望を満たす物件はなかなか見つからず、その時は相談者に丁寧に説明をして折り合いをつけてもらうことが多いと言います。
相談者との衝突も・・・ 住まい探しから8カ月 ようやく物件見つかる
8カ月の間、部屋を探し続けている川本さんのもとに、北中さんが物件の情報を持って訪れました。 川本さんの希望は、今の物件と同じくらいの広さと家賃、そして愛犬リリーちゃんと一緒に住めること。 「ここは本当はペット可で出てない物件なんですけども・・・」 北中さんがこの日紹介した物件は、今より狭い部屋でしたが、 交渉の中でペットを飼っても良いことになり、川本さんは「これ見たいな」と返事をしました。
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