目立つ日本株の弱さ 鍵を握るのは…データから見る
●日本の内需は復活できるか?
例えば2020年10月は定額給付金の効果が相応に残存し、GoToキャンペーン(トラベル、イート)があったにもかかわらず、個人消費はさほど回復せず、サービス業PMIは50以下の領域から抜け出せませんでした。関連指標に目を向けると、経済産業省が公表する第3次産業活動指数の「広義し好的個人向けサービス」がパンデミック発生前との断層をほとんど埋めることができず、現在も低水準で推移しています。この間、財消費も力強さを欠いています。自動車販売は相応のペントアップデマンド(1回目の緊急事態宣言で先送りされた需要)があったにもかかわらず、2020年10~12月期は500万台(年率)を回復するのがやっとでした。 今後、ワクチン接種の効果が発現することで経済活動は大幅な制限緩和が期待されるため、2020年秋頃の状況よりは力強い回復が予想されますが、もしそうならないなら、現在は堅調に推移している製造業をむしばんでしまう可能性があります。5月の出荷内訳表(国内で生産されたものがどこに向かったのかを把握するための指標、経済産業省が公表する)では約8割を占める国内向け出荷が前月比▲4.4%と大幅に落ち込み、内需の弱さを浮き彫りにしていました。欧米株対比で劣後する日本株は、内需の復活が鍵となるだけに最近のデータは失望的な印象が拭えません。
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