中日大野の何がどう凄い?5度目完封でチームを2位浮上させ巨人菅野を抜き防御率&奪三振の2冠に立った理由
中日の大野雄大投手(32)が14日、ナゴヤドームで行われた阪神戦で6安打7奪三振の完封勝利で9勝目をマークしてチームを2位に浮上させた。今季5度目の完封勝利。中日では2001年の野口茂樹以来、19年ぶりの快挙で、連続無失点は36イニングに伸ばした。さらに防御率も1.92となり巨人の菅野智之(31)の2.02を抜いてトップに立った。現在、1位をキープしている奪三振との”2冠”である。チームも4連勝。貯金2で阪神と順位が入れ替わり8年ぶりのAクラス入りへの期待が高まってきた。
「中継ぎ陣を休ませるために長いイニングを」
最初にして最後のピンチは9回二死にやってきた。 105球目。 甘く浮いたボーアへの初球に肝を冷やした。あわや本塁打の特大ファウル。あとアウトひとつ。どこかで気持ちもはやったのだろう。結局、ライト線に痛打を浴び二死一、三塁。だが、大野は薄笑いを浮かべていた。阿波野投手コーチがマウンドへ。ナインが集まり輪ができる。 試合後、その輪の中での会話の中身を聞かれた大野は、「覚えていないです。それくらい必死やったと思います」と振り返った場面である。 ブルペンではクローザーのR・マルティネスがピッチングを始めていた。12日の巨人戦、13日の阪神戦と連投中の右腕である。 「なんとかライデルを休ませたいと思っていた」 打席には、しぶとい梅野。一発が出れば同点、1本を打たれても防御率が下がる。だが、大野が考えたのは、チームのこと。次打者が、デビュー戦の19歳のルーキー、井上であることを考えると、梅野と無理に勝負をすることもない。大野は、冷静に先の展開をも読みながらストライクゾーンの四隅を使う。 最後はアウトコース低めに絶妙のフォークを落とした。完全にタイイングを外された梅野は、当たりそこねのボテボテのゴロ。マウンドを駆け下りた大野は一塁線に転がるゴロを落ちついて処理して一塁へ送り右手で小さなガッツポーズを作った。 「なんとか一人で投げ切れて良かったです。最近、中継ぎ投手の登板が増えていますのでなんとか長いイニングを投げられたらなと試合に臨んだ。早いうちに点を取ってくれたので、なんとかリードを保ったまま投げることができた」 3点のリードを一人で守りきったヒーローの大野は今季7度目となるお立ち台で、”なんとか”というフレーズを繰り返し使い、優しい笑みを浮かべた。