【2024年ベストバイ】登山専門誌「山と溪谷」編集長が今年買って良かったモノ
山と道 5-Pocket Pants
F:続いては、日本のアウトドアブランド「山と道」 の5-Pocket Pantsです。このアイテムのことは今回初めて知ったのですが、スマートフォンが邪魔にならないという触れ込みに非常に惹かれました。 五十嵐:スマートフォンは、前のポケットに入れると歩くときに腿にあたって邪魔ですし、後ろのポケットに入れるとしゃがんだときに落ちてしまうので、必需品でありながらずっと収納方法に悩んでいました。でも、このパンツに出会ってからは、完全にノンストレスになりました。走っても、中に入れたスマートフォンが揺れないんです。 五十嵐:登山愛好家必携の昭文社の地図も、このようにスムーズに出し入れできます。登山をするとき、スマホと地図は絶対に取り出しやすい場所に収納していたいんですが、サコッシュだと邪魔に感じてしまうことがあるんです。その点、このパンツは必需品が全部ポケットに入る上に、ずり落ちてこないし、重量もあまり感じない。山と道は、社長の夏目彰さんが素材から吟味して、試作品を何度もテストしてから商品化しています。そんなブランドだからこそ、こんなに優秀なパンツができるんだなと、感心しました。 F:今回は5-Pocket Pantsのバリエーションをたくさんお持ちいただきました。 五十嵐:夏用や冬用など、素材違いでたくさん買ってしまいました(笑)。短パンも予約していて、来年の夏に届きます。 F:かなりのお気に入りですね。これは沢登りのときも着用されるのですか? 五十嵐:山と道のはそこそこお値段がするので、沢登りのときは着ませんね(笑)。
パランテ ミニジョーイ
F:3点目は、アメリカのブランド「パランテ(PA'LANTE)」のミニジョーイというザックですね。 五十嵐:トレイルランニングのジャンルのひとつに、FKT(Fastest Known Time=史上最速記録)というものがあります。とにかくスピード重視で、寝るとき以外はずっと走り続け、食事も走りながら取ります。普通だったら半年くらいかかる行程を1ヶ月で走破したりするんですが、パランテはそんなFKTの愛好者が始めたブランドです。ですので、このザックは歩きながら色々なことができるようになっているんです。ストラップ部分に飲み物のボトルやスマートフォン、モバイルバッテリーなどが入れられるようになっていて、充電しながら地図が見られますし、ザックの下部分に設けられたポケットに、歩きながらアウターを出し入れできたりもします。 F:五十嵐さんも、走りながら食事をされるのですか? 五十嵐:FKTに関するウンチクに惹かれて買ったんですけど、そこまではしません(笑)。今、僕がこのザックで気に入っているポイントは、「肩荷重」だということです。登山のときは、荷物が約12kg以上になると「腰荷重」にしないと辛くなります。ですので、たいていの登山用のバックパックは「腰荷重」なんですが、荷物が約10kg以下だと「肩荷重」のほうが楽なんです。 F:パランテは、ウルトラライトハイキングという、できるだけ荷物を軽くする登山スタイルの愛用者が多いブランドだそうですね。五十嵐さんが普段山に持って行かれる荷物の重量はどれくらいなんですか? 五十嵐:本当はひとつひとつの装備の重量を計測しなきゃいけないのですが、僕はそこまでは厳密にやってないんですよ。でも、おおむね8kg台だと思います。10kgを超えることはまずありませんね。ウルトラライトのアイテムは軽さを重視しているので、どうしても耐久性がトレードオフになってしまいます。乱暴に扱うと破れたり壊れたりするので、ハイキングのときだけ使っています。沢登りのときは、耐久性を重視したアイテムを使うことが多いですね。 F:ミニジョーイは3万9600円。なかなかのお値段ですね。 五十嵐:小規模なガレージメーカーなので、どうしても高くなってしまいますね。こういったウルトラライトアイテムは大手のブランドも作っていたりするんですが、心情的にガレージメーカーのアイテムを買って応援したいと思っています。 F:こういうザック類がたくさんあると、収納スペースに困ってしまいそうですが、ご家族の理解は得られているんでしょうか? 五十嵐:確かに収納は大変ですが、使わなくなったギアはできるだけメルカリで売るようにしています。価値があるアイテムだとそれなりの値段で売れるので、メルカリが登場してくれて本当に良かったと思います。それまではショップに買い取りに出しても、驚くような低価格を提示されたりしていましたから。メルカリでは、廃盤になったギアを買ったりもしています。 ギア類は僕の仕事道具でもありますし、妻も登山をするのであまりとやかくは言われませんが、山と関係ない服をたくさん買ってしまうと、一悶着あったりしますね(笑)。 F:ファッションもお好きなんですか? 五十嵐:好きですね。青春時代に「ポパイ(POPEYE)」や「ホットドッグ・プレス(Hot-Dog PRESS)」「宝島」などの雑誌カルチャーの影響を強く受けました。「原宿キャシディ」や、神保町の「メイン(MAINE)」などのアメカジ系ショップでよく買い物をしています。 F:社内でも、山での服装と普段の服装が分かれている方が多いのでしょうか? 五十嵐:山の服を普段でも着る人と、完全に別にしている人で二分されていますね。僕は割とラフな服装で仕事をしていますが、広告部などのいつもスーツを着ていて真面目なイメージの人と休みの日に山で会うと、意外とスポーツ系の吊り目のやる気な感じのサングラスをかけていたりして、びっくりすることがあります(笑)。